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或る皇国将校の回想録
第四部五将家の戦争
第七十話 再始動する人々
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然顔が利く」
「だれか中枢に伝手がある人間‥‥‥」
 じりじりと幕僚たちは自分たちの上司を取り囲む。
「首席幕僚殿は三月前まで軍監本部にいらっしゃいましたな?」
 大辺は苦虫を?み潰したような顔で返答する。
「待て待て、窪岡閣下と豊守様にか?あぁそれはできるだろうが――」


 
「俺が戻ってくるまで待った方がよいな」


「‥‥‥れ、聯隊長!?」
 石井が汗でぬれた眼鏡を拭きなおす。

「お早い御戻りで、若様」
「いやな噂を聞いたからな。龍兵に便乗させてもらったよ。大佐となるのも悪くはないな。‥‥って若様は止めろ。
本当は所領の議会に立ち寄るつもりだったのだが、皇都住まいの俺がいなくとも皆うまくやってくれるだろうよ。
留守居役ご苦労だったな。すまないな」

「申し訳ありません、お聞きの通り面倒事の真っ最中のようで」
「軍紀が緩むときに離れた俺にも責があるさ、副官!」
 聯隊長の呼び声に輜重大尉が答える。
「おります、聯隊長殿」
「その騒動について報告書を出させる、俺も一刻後に第一大隊に向かう。
井関大隊長と人務の芹沢に連絡を。
状況を把握したら軍司令部に出頭すると若殿さまにも伝えておけ」「はっ!」

「記者対策はいかがなさいます?」
「記者連中には司令部の担当と俺で対応する、まずは状況を確認する。
まぁとにかく軍司令部と連絡を取ってくれ。状況を見てその職人と警察にも顔を出すよ」

「はい、かしこまりました」


「それで次は?」「杉谷中尉の実験小隊についてですが新編の二個分隊を増設、これを基にしばらくしたら小隊を増設したいと」
「分隊長は?」「小隊軍曹と杉谷が伍長から選抜しました」
「ならいい、杉谷達に任せる。あぁ待て、増強するなら第2小隊長候補を選抜して副小隊長にしてやれ、若いやつがいいな。頭が柔らかいのを選んでやれ。
それに加えて杉谷の補佐をやれる下士官もだ。様子を見て将校下士官を膨らませて中隊にする。
あぁそうだ。新式施条銃の維持管理の体制は?」

「係将校の下に専属の者をつけています」「専属?勘でやっているとかいわないでくれよ」
 豊久はそう言って首を傾げた
「蓬羽から派遣された職工に頼んで教習を受けさせました」「ならいい。教本を現場に合わせられるようにしろ。それで次は?」

「部隊全般の訓練状況についてですが、再編と訓練を進めています。
各隊の状況は芹沢訓練幕僚と冬野特務曹長から後程」
 パン!と手を打つ音が本部に響いた。
「よろしい、諸君らも一息つけただろう?本番を始めようじゃないか」



同日 午前第十三刻 天龍自治国首府龍塞 駐龍上〈皇国〉利益代表部庁舎
二等書記官 弓月葵


ひとしきりくしゃみを終えると洟をすすりながら何とも
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