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巣立ちの若鶴
発動! MO作戦
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で、建造中の正規空母が完成するまでのつなぎとして作られた、簡易的な空母である。しかしそれでも、航空戦力の足りないこの作戦においては、重要な戦力である。祥鳳は居並ぶ艦娘たちの後ろを抜けて、瑞鶴の正面の空席に座った。軽空母とはいえ、彼女も一線級の戦力として投入されるということだ。

 

「お久しぶりですね、翔鶴さん、瑞鶴さん。こっちの姿では初めてかしら」

 

 にこり、と笑いかけられて、二人は軽く頭を下げた。

 

「あ、お久しぶりです、剣崎……じゃなくって、ええっと、今のお名前はなんでしたっけ」

「はい、潜水母艦剣崎改め、航空母艦祥鳳です」

 

 二人の向かい側に座る、長い黒髪を毛先で二つに束ねた和装の女性。艦娘としては二人よりも先輩にあたるが、空母になったのはごく最近。第一航空艦隊が真珠湾への奇襲攻撃を敢行し、深海棲艦への反攻作戦が開始した直後である。

 

「内地に兵装転換のために戻っていると聞いてたけど、戻ってきたのね」

「はい。昨晩に。つい先ほど上陸と装備の点検が終わったので司令部の方に」

 

 ということは、この作戦会議自体がこの軽空母の到着を待って行われているということなのだろう。参加艦艇はこれで全部。この場にいるのはほとんどが重巡洋艦や駆逐艦で大型の艦艇は見当たらない。空母に至っても翔鶴、瑞鶴、そして軽空母の祥鳳だけである。これまでは少なくとも正規空母四隻以上で大型の作戦に当たってきた五航戦の二人にとっては不安を覚えざるを得ない戦力だ。

 

「さて、祥鳳さんも来たことだし、会議を始めましょうか」

 

 そういうと、長い机に海図を広げた。もちろんトラック泊地のものなどではない。これから艦隊が展開する先、ニューギニア島やソロモン海の海図である。ニューギニア島の北半分はすでにこちら側のものになっている。

 

「今回の攻略目標は、ここ、ポートモレスビーです。以後、この地点の呼称をMOとし、作戦名もこれに準ずるものとします」

 

 鹿島の指した地点は南側の沿岸部。深海棲艦が陸上に及ぶまで根拠地化している港。

 

「ここの港、MOへの海兵隊妖精さんと陸軍の皆さんを乗せた輸送船を送り届けること、これが第一の任務です」

 

 現状、オーストラリア大陸の沿岸部は深海棲艦に取られている状態である。ここへと侵攻するためにもニューギニア島を完全に制圧することは絶対条件ともいえるのだが、ニューギニア島の中央には標高の高い山々がそびえており、陸路からの北側攻略は難しい。そこで陸軍との共同作戦として打ち出されたのが、海路からの攻略である。

 

「ただし、この輸送部隊は低速にならざるを得ない。敵の攻撃を受ければひとたま
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