暁 〜小説投稿サイト〜
巣立ちの若鶴
発動! MO作戦
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「え、でも私たち姉妹だって、旗艦は瑞鶴の方だし、先輩方にはまだまだだって言われるし」

「え、翔鶴さんって旗艦じゃないの?」

 

 白露が心底驚いたように体を起こした。

 

「白露姉さん……戦闘がなかったとはいえ、もう結構な距離航行してると思うんだけど。それに気づいてないのはどうかと思うんだけど」

「五航戦の旗艦は瑞鶴よ。私は表立って指揮するよりも、瑞鶴みたいな大胆なことができる指揮の補佐の方が向いているから」

「なるほど、白露型と同じだねー」

 

 自信満々に胸を張る白露の向かいで、時雨はこめかみを抑えた。

「うちは完全に逆だよ、姉さん。姉さんに指揮を任せたら直感と勢いで隊を振り回すからね」

「えー、でもそれで勝った演習もあったじゃん」

「あの時は圧勝だったけど、夕暮と有明は大破寸前だったし、僕も中破したでしょ。実戦でああいうことはできないよ」

 

 白露を諭すように語る時雨と、それに頬を膨らませて文句をたれる白露。これではどちらが姉か分かったものではない。

 

「……白露型も大変ね」

「全くさ。でも」

「でも?」

「死と隣り合わせの戦場で、背中を預けて戦えるのって、やっぱり、姉妹艦だと思うんだ。有明や夕暮にはちょっと悪いけど、僕は旗艦としても一人の艦娘としても、一番信頼しているのは、白露姉さんだと思うん……うわっ」

「時雨〜」

 

 机を飛び越えるようにして、白露が時雨にダイブする。

 

「ちょっと、姉さん、ほら、お店に迷惑だから」

「時雨〜、私も、あなたがいっちばーん、だよー」

「……全く、ゲンキンだね、姉さんは」

 

 時雨がため息をついたとき、突如、店内に設置された、島内の連絡周知などに使われる有線の通信機から、聞きなれた軍歌が流れた。しかし、この軍歌はただのラジオ番組ではない。

 

「……召集のようね」

「そうね、行きましょうか、皆さん」

「「はい」」

 



 

島内を駆け巡った軍歌は、トラック泊地に停泊している艦娘や軍人が簡易的な暗号として使っているもので、島内に店を構える一般の人々の不安をあおらないことが目的である。

そして、甘味処で流れた曲は、「緊急ではないが、至急司令部へ戻れ」の意味。作戦を控えたこの段階で流れたということは、参加艦艇がそろったために、作戦会議が行われる、ということだろう。

 

司令部の中でも一際大きな部屋。その仰々しい戸を、緊張した面持ちの瑞鶴が、コンコン、と叩く。私的な場面では翔鶴が前面に立つことが多いが、こうした公的な場では「第五航空戦隊旗艦」の瑞鶴が、こうした役を行わなければな
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