第四章
[8]前話
市長は特に二人に礼を述べたがそれでも言うのだった。
「しかし何故あの様なものが今出て来たのか」
「それやな」
「それがわかりません」
「何かの弾みか誰かが動かしたか」
「誰かですか」
「そこまではわからんが」
それでもというのだ。
「そこはおいおい調べよな」
「では」
「そして今はな」
「街の危機が取り除かれたことに」
「喜ぼうな」
島崎が笑ってこうも話した、そしてだった。
市長は二人に最期の礼を述べた、その後で島崎は横溝をある店に案内した、そこは蟹料理の店だった。
蟹鍋に蟹味噌、蟹の姿焼きに卵、そして素揚げを頼みデザートは羊羹にした。日本酒も忘れなかった。
乾杯してそうしたものを飲んで食べつつ楽しんでいると島崎の手にあるものが宿り彼の心の中に語り掛けてくる声があってそれをそのまま横溝に話した。
「正忍記や」
「忍術書ですか」
「あらゆる忍術のことを教えてくれる」
「では」
「私はこれまでよりも遥かに効果的に多くの忍術が使える様になった」
「忍者としてそれだけ強くなりましたか」
「ああ、そしてな」
島崎は蟹味噌を食べつつさらに話した、心の中に語り掛けてくる言葉は続いていてそれを横溝に話していった。
「私自身も神託を適えて」
「そしてですね」
「全体的に強うなった」
「それは何より」
横溝は蟹の卵を食べつつ応えた。
「あの移動要塞を倒した介があります」
「ほんまにな、それでな」
島崎は今度はおちょこで酒を飲みつつ話した。
「私達の目的はこの世界を救うこと」
「そやからですね」
「今は飲んで食べてるが」
蟹に酒をというのだ。
「しかしな」
「それでもですね」
「その後でな」
この世界を救う為にというのだ。
「次に行くべき場所に向かおうな」
「そうしますね」
「是非な」
「今は楽しんでいますが」
「その後でな」
飲んで食べて満足したその後でというのだ。
「そうしよな」
「それでは」
「今は腹一杯になるまで飲んで食うか」
竜人の顔を綻ばせてだった、島崎は横溝にこうも言った。そうして蟹も酒も心から楽しむのだった。
生物要塞 完
2019・9・25
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