第23話
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る。連邦軍の宇宙における拠点はルナツーとサイド7を残すのみ。地球侵攻作戦が続く現状、マ・クベの支配する領域、人員、戦力は増えることはあっても減ることはない。中将では立ち行かなくなるのは目に見えている。何しろ現時点ですら、ジオン公国軍全将兵の半分近くが地球に、つまりマ・クベの支配下にあるのだ。新しい地位と更なる権限が無ければ地上で戦争指導などとてもやってはいられない。現状ですら色々限界なのだ。昇進の前に欧州方面軍を分割して手放したのも、必要に駆られてやむを得ず、という一面がある。
とはいえそれらはまだ少し先の話。北米方面軍に大盤振る舞いした結果として手元のあれやこれやが必要最低限度を割り込んでしまったマ・クベとしては、現状では本国に補給の催促をしたり、現地人と友好関係を築くために外交するくらいしかやることがない。出来ることがない、と言っても良い。マ・クベはオデッサ基地の司令も兼ねるが、実際に運営するのは部下達であり、マ・クベの関与することなどほぼ存在しない。本国への催促も既に終えていて、残るは周囲との外交交渉のみだ。
侵略者であるマ・クベ達の見込みでは現地人との折衝に苦労する筈だったのだが、予期せぬ追い風によってこちらもトントン拍子に進んでいた。
とあるテロ組織が次々に連邦勢力圏で焼き討ちを行うため、ジオンに庇護を求める都市や地域が続出したのだ。テロ組織の声明は常に反地球連邦を謳いジオン公国のジの字もないが、反地球連邦である以上、ジオン公国側の立場を表明すれば、地球連邦側として虐殺対象になることは避けられる、筈である。
もちろん、公然と地球連邦からの離脱、ジオン公国への協力を表明すれば、今次大戦を地球連邦が制した場合、報復あるいは懲罰でひどいことになる。そのため、はじめは無防備都市宣言を表明することでお茶を濁そうとしていたが、そのような不心得者は核の炎とコジマの輝きの中に消えていった。
無防備都市宣言とは、ここには戦力が無いから協定を守って人道的に対応してね、という意味であり、ジオン公国軍が相手ならともかく、反地球連邦政府を掲げるテロリスト相手には無意味だったのだ。テロリストにとっては地球連邦政府による統治を認めるか認めないかが攻撃対象になるかどうかの判定基準であって、戦力の有無は二の次というか、全く気にしていないのである。
そのため無防備都市宣言だけでは虐殺を止められず、地球連邦軍にはこれを防ぐ力もなく、結局はジオン公国軍に占領されることを望む都市が増えている、というのが現状だ。
地球連邦政府としては連邦からの離反は業腹だが、北米陥落の衝撃があまりにも強すぎた。首都を擁していた旧アメリカ合衆国ですら地球連邦政府は護りきることができなかったのだから、旧東欧諸国に向かって、必ず護るから地球連邦に残ってくれと言ったところで説得力
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