グランバニアの食文化と宰相閣下の扱い方
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(ラインハット城:プライベートエリア)
ラインハット城内の王族用生活エリアの一室で、とある夫婦が会話をしている。
次世代のラインハット国王である第一王位継承者のコリンズ王太子夫婦だ。
王太子妃であるポピーは身籠もっており、かなり目立ってきたお腹を愛おしそうに摩りながら10ページも無い小冊子を熟読している。
「それかい、君の可愛い妹君が持って来た情報誌ってのは?」
「ええ、私の可愛い妹のリュリュが誰彼構わず配り回っているサラボナ通商連合が全世界向けに発行した無料旅行冊子よ」
そう言うと近付いてきた夫に冊子を渡すポピー。
受け取ったコリンズも表紙を見て、肩を竦めながらそこに書かれている文字を読んだ。
『今、グランバニアが熱い! 2年後には世界中の猛者が集まる武闘大会開催!』
コリンズは妻をからかう様に冊子の見出しを読み出した。
「恥ずかしいから声に出して読まないでよ!」
「君の故郷の事だろ……恥ずかしがるなよ(笑)」
「恥ずかしいわよ、内容とそれを持って来たリュリュの考えが!」
「内容? どれどれ……」
コリンズは妻に促されるかの様に、手にした小冊子のページを捲る。
そして今度は声には出さずに内容を読み進めた。
その内容とは……
『今、旅行に行くならグランバニア王国だ! 2年後に迫った武闘大会の為、日々発展し続ける町並みの他に、直ぐにでも体験して欲しい他国には無いモノがある。それは何かというと……食文化だ!!』
「しょ……食文化ぁ!?」
冊子を読んでたコリンズが思わず声を出す。
そんな夫を見て、溜息で先を読む様に促すポピー。
そして再度冊子へと目を落とした。
『グランバニア王国は現国王が王位に就いて20年ちょっとの時が経過している。その中で最近になって新たなる食がグランバニアでは流行しているのだ』
知らなかった情報に思わず妻を見るコリンズ。
「へー……ポピーは知ってるの?」
「まぁ……ね」
妻があまり言いたがらなそうなので、続きを読む事にする。
『グランバニア王国独自の食文化は多数あるが、今回は2つほど紹介しよう。そのうちの1つ……寿司だ!』
「寿司?」
「美味しいわよ」
『寿司は非常に美味なのだが、どのようなモノか知ると顔を顰める読者もいるだろう。だが食せず判断するのは間違いだ。その旨さたるや神秘と言っても過言じゃ無い』
「どんだけ美味いんだ?」
「輸入したくなるくらいよ」
『さて……では寿司がどのようなモノか説明しよう。酢を適量混ぜた白米を一口サイズに握り、その上に生の魚介類の切り身を乗せて醤油を少量付けて食す! 生の魚介類と聞いて生臭い食べ物を想像する読者も多いだろうが、この寿司はそんな事無い。酢飯と醤油……そして人によっては好みの分かれる
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