暁 〜小説投稿サイト〜
遊戯王BV〜摩天楼の四方山話〜
ターン15 暗黒の百鬼夜行
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ことにダメージを与えるものではない。しかし火竜の住処はいまだ有効であり、この戦闘破壊も合わせて合計9枚ものエクストラデッキ破壊に成功した計算になる。
 それは、デッキの種類によってはそれだけで詰みかねないほどの一撃。しかし元々エクストラデッキへの依存度がさほど高いわけでもない【シャドウ・ディストピア】にとって、果たしてこの9枚という数はどれほどの痛手となりえただろうか?

「『デビル・ヒール自身の効果により、火竜の住処を再セット。さて、これにて火竜デビル・ヒールによる悪霊退治の大暴れはひとまず幕を下ろします。えっ、まだ悪霊は残っているって?その通り、ですがご安心ください。火竜の大暴れもいいものですが、やはり私どもの公演はこれがなければ終われません。追撃のアンコール上演、魔界台本「魔王の降臨」!これにより今回破壊の対象といたしますのは、残る3体の怨霊及びこの暗黒の世界そのものです!』」

 ビッグ・スター1人だった1ターン目とは違い、今の鳥居のフィールドには合計4体もの攻撃表示の魔界劇団が存在する。すなわち破壊できるカードもまた、4枚。吹き荒れる魔王の暴威によって残る3体のトークンが、そして闇に閉ざされた空間までもがねじれちぎれて消えてゆき、巴のフィールドもまた完膚なきまでに壊滅していまや1枚のカードも残っていない。ほんの少し明るくなった閲覧室の片隅で、消えていた非常灯に再び緑の光が点き始めた。

「『これが我々の、魔界劇団の力です!ですがここで、ひとつ残念なニュースがございます。確かに目に見える範囲では全ての悪霊の駆逐に成功いたしましたが、残念ながらまだその奥にはいまだ姿を見せない真の親玉がいるようですね。ならばこの魔界劇団一座、勝ち名乗りを上げ祝杯を挙げるのはやはり相手の大将首を落とすその時までお預けといたしましょう。さあ、第二ラウンドに備え再び戦いの準備です。メロー・マドンナによって呼ばれたプリティ・ヒロインは、このターンが終わると同時に私の手札へと戻ります』」

 これでニゲ馬車に残るは着ぐるみのままなデビル・ヒールと先ほど着替えた魔王ルックのビッグ・スター、そして必然的に御者役となったメロー・マドンナと鳥居自身を残すのみとなった。すでに巴には手札もなく、盤面もまた圧倒的有利。何よりリリース戦法の要となるディストピアを破壊できたことの戦術的な意味は、計り知れないほどに大きい。
 しかし、である。それでもなお、彼の気分は晴れなかった。理由は彼自身にも分からない。これが我々の、魔界劇団の力……そう高らかに言い切るその声は、むしろ彼自身に言い聞かせるような響きを帯びていなかっただろうか。巴はそれすらも見透かしているかのように薄い笑みを浮かべつつ、逆転された現状をさほど気にする様子もなく次なるカードに手をかける。

「なるほど。では、私
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