第二章
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「僕の神託のことやが」
「あの、ギルドで受けた依頼ですけど」
どうかという顔でだ、李がナツァグドルジに話した。三人は旅の冒険者と素性を隠してそのうえで依頼を受けたのだ。
そしてその依頼をだ、李は話した。
「黄金の羊を見付け出して」
「それを保護する」
「稀少な羊やからな」
「そうですね、ただこの中からですか」
モンゴルの大平原でとだ、李は言った。
「黄金の羊をですか」
「羊は家畜化しててな、はぐれてもこの世界やとすぐに術で発見出来る」
「そやから家畜の中からですか」
「探せばええわ」
「そうですけど」
それでもとだ、李は慣れない馬の上から慣れている李に話した。
「問題は」
「ここで羊を見付けることか」
「何もいませんから」
草原以外何も見えないというのだ。
「こんなとこで人を見付けるだけでも」
「それでもそれが神託みたいやからな」
ナツァグドルジはその李に話した。
「やっていこうな」
「そうしますか」
「恐ろしい神託やな」
黄もこう言うばかりだった。
「ほんまに」
「そうか?」
「こんなところで羊見付けるんやで」
そうだからとだ、黄はやはり慣れない馬の上からナツァグドルジに言った。普通に乗っている彼に対して。
「幾ら黄金の毛で目立っても」
「こんな馴染める場所で言うんかいな」
「いい場所ですよね」
「全く以て」
ナツァグドルジの馬の傍にコバルトブルーの毛並みの狼とスノーホワイトの毛並みの鹿が現れて主に言ってきた。彼の神具の二つである青き狼と白き牝鹿である。
「ここは私達の庭です」
「勝手知ったる場所です」
「もうここにいますと」
「安心出来ますね」
「何処がや」
黄は狼と鹿にも言った。
「こんな何もないところでどう見付け出すんや」
「大海の中で船を泳いで探す様なものです」
李はこう言った。
「恐ろしいことです」
「私には鼻があります」
「私には目があります」
狼と鹿は李にも言ってきた。
「ですから」
「発見出来ます」
「ほな羊は何処におるんや」
黄は狼と鹿に尋ねた。
「モンゴルの」
「ここから北東ですね」
「今はそちらですね」
二匹はすぐに黄に答えた。
「遊牧民の老夫婦のゲルの家畜達の中にいます」
「その黄金の羊が」
「距離はどれ位や」
ナツァグドルジは二匹に肝心のそれのことを聞いた。
「一体」
「はい、千キロです」
「おおよそ」
「わかった、ほな行こうか」
「おい、待て」
「今何と言ったのか」
千キロと言われてナツァグドルジは平然としていた、だが黄と李はその距離に即座に何だそれはという顔で突っ込みを入れた。
「千キロですか」
「それどんだけ遠いんや」
「馬でそれだけ行くとか」
「恐ろしい
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