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レーヴァティン
第百二十一話 即位その二

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「皇帝にならない」
「それでいいか」
「別に皇帝の座にこだわってはおられないですね」 
 順一は久志を見て彼に問うた。
「貴方は」
「まあ別にな」
 実際にとだ、久志も答えた。
「俺は統治で必要かって思うからな」
「だからですね」
「皇帝にならないでも他にもっといいやり方があるならな」
「そちらをですね」
「選択してな」
 そしてというのだ。
「それでいいさ」
「そうですか」
「ああ、けれど今はな」
「皇帝になられることがですね」
「いいと思うからな」
「そうですね、では」
「これで皇帝になることへの反対が多いとな」
 その時はというのだ。
「俺は即位しないな」
「護民官のままですか」
「ああ、それでいくな」
「そうですか」
「けれどな、今はな」
「皇帝の方がですね」
「いいってな」
 思うからだというのだ。
「俺はこのままいくな、ただ皇帝になるより他にいい方法あるか」
 久志は順一にこのことを尋ねた。
「それは」
「そう言われますと私もです」
 どうかとだ、順一は答えた。
「やはりこの状況では」
「皇帝になることがか」
「いいと思います」 
 こう久志に話した。
「皇帝は王の上に立ち」
「そしてだよな」
「統治の権威もです」
 それもというのだ。
「ありますので」
「だからだよな」
「はい、ですから」
「俺の即位も賛成だな」
「他はです」
 どうにも言うのだった。
「思いつかないです」
「やっぱり皇帝になることが一番いいか」
「統治には」
「王の上に立つ権威か」
「世俗の世界では最高ですね」
「そうか、じゃあ国民の支持を聞くか」
 久志は腹をくくった、そのうえで言った。
「これからな」
「では」
「具体的にどうして国民の声を聞くかだけれどな」
「もうこれは率直でいいでしょう」
 こう言ったのは夕子だった。
「国民の人達にです」
「俺が皇帝になろうと思うって言ってか」
「はい、投票を行って」
「その支持が高いとか」
「即位されては。やはりこうした時はです」
 何といってもというのだ。
「国民の支持がです」
「一番か」
「ですから」
 それでというのだ。
「この度はです」
「よし、じゃあな」
「今からですね」
「俺がそのまま言ってな」
「国民の皆さんにですね」
「投票を呼び掛けるな」
 こう言ってだった、久志は今治めている領地の全土に皇帝への即位を考えているむねを伝えた、そうしてだった。
 投票も呼び掛けた、その時にだった。
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