第三十八話 黄金郷のヤアド
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かも。」
「そっか…。そうだよね。私も感じてるけど、魔物だけの攻撃性を奪う結界なんて聞いたことも見たこともない。」
「解析できれば、これほど研究しがいのあるものもないわ。こんな状況じゃなければ、ずっといたいけど…。」
「…うん。」
マルシルとファリンは、家の窓の外を眺めた。
すると、そこへ。
「皆様、お待たせしました。どうぞ、楽な格好で、こちらへ。」
そう言って女中に案内された先にいたのは…、小柄な青年だった。
「ああ、ようこそ、皆さん。お会いしたかった。」
「あなたは?」
「僕の名前は、ヤアド。あなた方がご存じであろう、デルガルの孫にあたります。」
「デルガル…のお孫さん?」
「さあ、おかけになってください。なぜお呼び立てしたのか。長い話をいたします。」
席に座ると、女中達が料理を運んできた。
牛のリブステーキ。
野菜のスライム寄せ。
刃魚のローフ。
芋とウサギのスープ。
「わーい!」
「ふぁ、ファリン…? まさか…あなた…。」
「うん。リクエストしたの。」
「この村では、魔物を日常的に?」
「食べる者もいますが…、ほとんどの者は食べません。」
センシが聞くと、ヤアドがそう答えた。
「味覚が鈍ってしまったのもありますが…、そもそも食欲を感じることがありません。それが…、狂乱の魔術師が私達にかけた、不老不死の呪縛です。」
その言葉に、場がシンッとなった。
「その…魔術師は、どうしてそんなことを?」
「さあ…? 私が物心ついた頃にはすでに、名の通りまともに話ができる状態ではありませんでした。しかし、我々のことはお構いなく、存分に召し上がってください。食欲はなくとも、他人が食事する姿を見るのは嬉しいものです。」
それを聞いて、マルシルとチルチャックは、食事を拒絶できなくなり困った。
「…うん! 肉汁がたっぷりで、かみ応えはあるけど、旨味が強いお肉だ!」
「それはよかった。」
ファリンが率先して…というか喜々としてリブステーキにかぶり付いていた。
そんなファリンにゲンナリしながら、マルシルもチルチャックも出された物は仕方ないと手をつけた。
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