蒼紅:第十二話 憎悪
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ソウからは2人の年齢が逆と思われていてもだ。
「そう…ですか…私がシアンの力になれたのなら良かったです。」
今ではシアンとテーラは逆転姉妹のような関係である。
妹のような姉のシアンと姉のような妹のテーラと言ったところか。
「そう言えば、テーラちゃんってお兄さんいるんだよね?どんな人なの?やっぱりGVのお兄さんみたいに優しいの?」
「え?お兄様…ですか?…そうですね、お兄様はとても優しく、博識で私の自慢のお兄様です。GVとソウとは違って私達に血の繋がりはありませんが、同じ時間を過ごして、同じ草を噛み、泥水を飲んで生き延びた孤児同士で…義兄妹の誓いを交わした家族です。」
「孤児…お父さんとお母さんは?」
「あれは私が能力者であることが分かると私を捨てて逃げました。しばらくは孤児院で育ちましたが、経営者の方が亡くなったことで孤児院が閉鎖された後はお兄様や孤児仲間と身を寄せ合いながら生きていましたが…私のいた故郷では能力者は迫害の対象であり、謂れのない暴行を受け、そして碌に食べることも出来ず、私の孤児仲間達は1人、また1人と…死んでいきました…残ったのは私とお兄様だけになり、そのお兄様も飢えで倒れ、そして無能力者がそんなお兄様に果物を与えたのです…毒入りの物を…」
「そんな…」
「お兄様は何とかそれを吐き出したことで九死に一生を得ました。この時に今より幼かった私でも悟れました。無能力者と能力者は分かり合えないのだと…」
絶句するシアンに語り続けるテーラの表情は冷たい物になっていく。
「でも…全ての無能力者の人がそうじゃないでしょ?モニカさんみたいに」
「そうですね、彼女の人柄は私も好ましいと思います。無能力者なのが惜しいくらいに…ですが、シアン…モニカさんみたいな人がどれだけいると言うのですか?私は…もう無能力者を信じることは出来ません…人は自分とは違う存在を受け入れることは出来ないということは皇神で利用されていたあなたも分かっているのではありませんか?」
「でも…皇神にも…親切にしてくれた人が…」
「他より治安の良いこの国にいるあなたには実感がないかもしれませんが、あなたはごく一部の無能力者のために今、この瞬間にも心ない無能力者に迫害され、食べる物も眠る場所もなく苦しんでいる同胞に迫害を受け入れろと言いたいのですか?」
この細工をしている時でさえ、どこかで能力者が愚かな無能力者からの迫害を受けているのかもしれない。
そう思うとテーラの表情は温度を全く感じさせない冷たい物に変わった。
「…!」
冷たい表情でシアンを見つめるテーラにシアンの表情が強張る。
少しして、テーラは首を横に振ると細工を再開した。
「…すみません、シアン。細工を続けまし
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