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蒼と紅の雷霆
蒼紅:第十二話 憎悪
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最後の宝剣持ちの能力者であるエリーゼを倒してからは比較的、穏やかに時間を過ごせるようになった。

そしてシアンとテーラは贈る相手であるGVとソウに気付かれないように2人から貰った宝石で細工をしていた。

「テーラちゃん、そっちは出来そう?」

「私も後少しですね…手作りのペンダント…受け取って貰えればいいのですが」

「うん…」

シアンとテーラはどうやらそれぞれがGVとソウから貰った宝石でペンダントを作っているようだ。

ペンダントなら持ち運ぶ際に邪魔にならないし、お守りになるのではないかと思ったのだ。

元々こういう細工が得意だったシアンだが、テーラは細工をやったことなどないために苦戦している。

「シアン。ここはどうすればいいのですか?」

「あ、ここはね」

普段はテーラが教える側なのだが、テーラが細工に初挑戦のために今回はシアンが教える側となっている珍しい光景となっている。

「ふふ、何か不思議な感じ。普段は私がテーラちゃんに教えてもらっているのに」

「そうですね…細工と言うのは意外に難しいのですね…シアンがいなければ出来なかったかもしれません」

難しいが、こうやって少しずつプレゼントが完成に近付いていくのは素直に嬉しいと感じる。

「皇神にいた頃、これが私の趣味だったの…これをしている時だけ、無理やり歌わされることを忘れることが出来たから」

「シアン…」

皇神によって誰かを傷つけるための歌ばかりを歌わされてきたシアンにとって皇神にいた時、細工をしている時だけが唯一の癒される時間だったのは想像に難くない。

「あ、ごめんねテーラちゃん。でも今は凄く幸せだよ。GVやお兄さん、テーラちゃんとの生活が凄く楽しいの」

シアンの言葉にテーラは目を見開いた。

「私もですか?」

こう言っては何だが、シアンからすれば自分は3人の平穏な空間に入り込んだお邪魔虫のような立場だ。

来たばかりの最初の頃はテーラがGVに話し掛けると少しムッとなっていた記憶がある。

途中からそう言うのはバッタリなくなったが。

「うん、テーラちゃんがいなかったら…私、GVやお兄さんが帰ってくるまで…1人だったから、2人が帰ってくるまで、テーラちゃんが話し相手になってくれたり、第七波動の使い方を教えてくれたり…おかげでミッション中に歌がより鮮明に聞こえてくるようになったんだって」

テーラがここに来た時、仲良くしたい気持ちは確かにあったが、GVと仲良くしてる時は嫉妬してしまった。

自分より年下の女の子なのに知識も豊富で、家事も出来て性格も子供っぽい自分と違って大人びており、劣等感を感じてしまった。

今思うと年上として恥ずかしい態度を取っていたことをシアンは恥じてしまう。
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