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魔法少?リリカルなのは UnlimitedStrikers
第74話B 繋いだ手がほどける時
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に助けられてばかりでした。でも、私は私を全う出来たと自負はあります」

 瞳を閉じた。
 すると、六課に来た今までのことが流れ出てくる。初めて六課に来て出会った時。皆に誘われ付き合った買い出しの時。出張に行った際の出来事。アグスタでの出来事。調査任務で初めてヴァレンと出会った事。初めてヴィヴィオと出会った時。躰を奪われそうになった時。休日を使って地球へ行った日。
 いろんな出会いがあった。一つ後悔があるとすればもっと早くに皆さんと仲良くしたかったという事を。
 
 そして、何よりも。震離に出会えたということが何よりも大きいと、想いを通じ合えたと言う事が大きかった。
 
「なら良かったよ」

 愛おしそうに、流を抱き寄せる震離の目には涙が浮かんでいる。
 彼女もまた、出会ってからの日々を思い出していた。何処と無く放っとけなかった、初めはそれだけだった筈なのに、徐々に彼を見ていることが多くなっていった。コンビを組む機会が多かったというのも一つの要因だったのだろう。
 しかし、それでも震離は彼を見ていた。そして気づいた。不器用ながらも一生懸命に陰ながらフォローをしていて、成長してると分かれば喜んで、任務の度に皆が無事だという事実に人一倍喜んでいた彼に、少しずつ心惹かれて行った。
  
 このままゆっくりと一緒にいたいと考えてしまう。

 だが……。

「……流、やろうか」

「はい」

 白く濁りつつある瞳を開けて、流が応える。
 ゆっくりと、二人して立ち上がり、宙へと浮き、駆動炉の空いた穴まで近づく。

「流。伝えた通りやろうか」

「えぇ、やりましょう」

 白んだ目に、強い意思が宿る。駆動炉の中に降りるとともに、流の両腕に魔力が宿り稲妻が奔る。それに合わせて震離もその身に宿った全ての魔力を用いてイレイザー(消滅系)の発動準備を行う。
 普通の人間ならば、恐れるに足りない。範囲も効果も限られている。

 しかし、この2人は違う。真祖の力を受け継ぎ、人では扱いきれないほどの魔力を有した吸血鬼。それに対抗できうる程の魔力を有した何か(・・)。事実AMFという環境下にも関わらず、溢れ出る魔力で空間が震えている。
 震離が言うには、ヴァレンが最後に放った技に、空間を割る能力を付与させ、それにイレイザー(消滅系)で迎撃すれば、擬似的なアルカンシェルの効果を再現出来るとの事。
 本来ならば机上の空論。出来たとしても人では出来ぬ芸当……のハズだった。
 
 幸か不幸か、この二人にはそれが出来る力と技術。何より、それをシミュレート出来るのだ。
 
 だが――

「……あぁ、ドキドキする。本当に死ぬのは……初めてだから」

「えぇ、そうですね」
 
 二人して苦笑を浮かべている。こうし
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