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魔法少?リリカルなのは UnlimitedStrikers
第74話 また逢おう
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配が薄く、何より貴方に体を渡してるはずなのに痛覚を共有しています』

「そうか。すま―――」

『ありがとうございます。貴方とキュオンさんを見て、私は私の戦い方を構築することが出来た』

 あら意外。と考えてしまう。それはヴァレンさんも同じらしく、目が点となってる。

『私はまだまだ弱くて、全然だということがわかりました。だから―――』

 唐突に流の瞳から涙が溢れた。
 いや、予兆はあった。少しずつ、少しずつ……涙を浮かべてたもんね。

『あ、あれ……変です、ね』 

 ポロポロと涙が溢れる。拭ってあげたいけど、今の流は映像のようなもの、触れることは敵わない。この涙の意味は分かるから余計に辛い。だってその涙は。

「……ふ、ははは。ありがとう。こんな俺のために泣いてくれて」

『だ、って……、ヴァレンさ、ん。貴方も消える、かもしれないんです、よ?』

 決壊した。きっとキュオンさんが消えた時、誰よりも想い、悲しんだのはヴァレンさんだろう。そして、それは一緒に居た流にダイレクトに伝わってるはず。そして今度は、ヴァレンさんが消えようとしているんだ。私だって……泣きそうだ。

「いいんだよ。俺は。嘗ては思いもしなかった。こんな俺が次に託せるなんて夢にも思わなかった」

 自然な手つきで、懐からキセルと取り出して口に咥える。

『……わ、たしは……私では―――』

 ボロボロと溢れる涙を隠すように、顔を覆い声を震わせている。

「私では、じゃない。お前だから託すんだ。まぁ、まさか体を渡して託すとは思ってなかったが……」

 あはは、と苦笑い。まぁ、普通そうだよねー……。私もキュオンさんから、色々受け継いだけど力という概念というか継承だけど、流の場合体をそのままだからなぁ。

「先にも言ったが、俺もキュオンも―――」

『だけど、私は私という存在が貴方を殺すんです! ……私が居なければ、私が居るから貴方が消えるんですよ……? 本来なら消えるべきは……』

「それは無い。それは無いんだよ流。俺だって嘗ては人体実験されていたのだから、本来の人格がどちらなのかなんて分かるはずもないんだよ」

『でも、でもぉ……』

 子供のように泣きわめき、膝をつく流と、視線を合わせて優しく語りかけると共に、咥えていたキセルが落ちた。

「初めてお前と会った時何を馬鹿なと思った。だから本気で戦った―――嬉しかった。キュオン以外に本気でぶつかれる相手が未来に居るんだと知ったから。そして、それは序章に過ぎず、遥かに広がっているんだと。
 やる前から諦めないで、ちゃんと前を向いて。辛いことや、負い目を感じて自己嫌悪で駄目になりそうでも、お前()は共に並び立つと決めたのだろう?」

『……ッ』

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