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魔法少?リリカルなのは UnlimitedStrikers
第73話 Rebooting Time 3 minutes.
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いないのだ。
 だからこそ、アイツは今、俺に背を向けている。
 
 だから往く。

 深く踏み込んだ右を床へと叩きつけるように踏みしめて跳ぶ。更に宙を左足で蹴って、飛んだ。全身に負荷が掛かる。視界は暗い筈なのに火花が走る。コレで両足は動かないだろう。だが。勝つと決めた、倒すと決めた。コイツから聞かなきゃいけないことが山ほど有るんだと。
 
 刀を持つ手に力が入るのを抑えて、出来る限りの脱力をする。同時に肩が壁にぶつかるのを感じた。だが、気配がそこに有るのを強く感じる。突然の急停止に体が軋む。
 だが―――

 ―――とった。

 斬撃を、居合の要領で拳を振るう。同時に拳を徹す為に障壁を超えた奴へと定めて。
 斬撃を飛ばすように拳圧を飛ばし徹す。

 コレが奥の手。刀を使った居合は加減が効かない。防御を抜いて斬れるから。だが、拳ならば衝撃を押し通す事ができる。加減が出来るわけではないが、それでも、斬撃よりも遥かにマシだ。
 連撃が通るのを感じる。だが、まだ殺気は消えてない。だからまだ拳を飛ばす。コレを通せなければおそらく倒される、今度こそ本当に死ぬ。
 
 数十……数百の連撃を見舞ってもまだ殺気は消えない。何かを砕く感触を感じながらも、まだ拳を振るう。

 不意に体勢が崩れたのを感じた。俺もアイツもだ。わけもわからないまま転がるのを感じる。動かなければ、顔をあげて刀を構えて備えなければ俺は死ぬ。早く、早く、と考えるも。体が動かない。

 ふと、母の顔が浮かんだ瞬間。体から力が抜けていく。
 それと同時に、耳に、音が、目に光と色が。
 音は、荒い息と、心音と。目には、穴の空いた天井が見えた。

 視線をずらすと、離れた場所に老婆が……ライザ・ジャイブが倒れているのが見える。

 立たねば……。
 
 そう考え、体に力を入れるが。

『……ご心配されナクトも、マイスターは、意識を失ッテ居まスヨ』

 聞き覚えのある女性の電子音声。

『あナタのかチで御座いまズ。響サマ』
 
 遅れて聞き覚えのある男性型の電子音声。

「ギルと、アークか?」

『『はい』』

 俺の倒れてる場所まで。ボロボロとなった2機が浮游したまま近づいてきた。

『……響サマ、私タチはもう間もなく、壊れマス』

 どことなく嬉しそうな声でアークが話す。ゆるゆると左手を動かして、二機を手の上に乗るように、差し伸べる。すると二機が手の上に乗ってくれた。ゆっくりと体を起こして、両足を伸ばしたまま座って、足の上に手をおいて二機を眺める。

「おいおい、向こうで流が……いやまぁ、ヴァレンさん? って方が闘ってるのに、お前らの力がないと不味いだろう?」

『……いいえ、私達でハ、イケマ……ゼン』


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