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魔法少?リリカルなのは UnlimitedStrikers
第73話 Rebooting Time 3 minutes.
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「……そうか。では我が王よ。互いに死力を尽くしましょう」

「えぇ、お互いに全力を、お互いの全てを掛けて。あの日出来なかった事を、今!」

 その言葉と同時に、膨大な魔力が王の身を包んだ。虹の極光で、一瞬姿が見えなくなる。
 そして、極光が収まると共に、王の手には一本の槍。何の変哲もない、ただの棒とも言える物が現れた。それは魔力で作られた一本。
 同時に、それは今残ってる全てをそこに収束させたと言っても過言ではない物。
 おそらくゆりかごに残ってる魔力を使い、それを作ったのだろう。既にゆりかごからの魔力のバックアップは殆ど無い。聖王の鎧も機能こそしているものの、既に脆くなっているのだから。
 だからこそ王は選んだ、自身の持てる技術の中で一番の信頼できるものを、槍術に長けた聖王だから、それを選んだはずだ。

 いやはや……まさか使う羽目になるとは思わなかったよ。心を熱く、魂を燃やすときが来た。

 拳を胸に掲げ、瞳を閉じる。

 ―――この身は悠久を生きし者。ゆえに誰もが我らを置き去り先に行く。

 ―――幾千の夜を数えただろう。幾億の星が過ぎただろう。我らは永劫の円環を駆け抜けよう。
 
 ―――あらゆる総てをもってしても繋ぎ止めることが出来ない。

 ―――唯一無二の終わりこそを求める故に。

 瞳を開ける。空を仰ぐ。

 あぁ、いいなぁ。こんなにも空が青く見えるなんて……だから―――

「来なさい鬼神。我が絶槍を持って貴殿を討とう」
 
「行くぞ聖王。我が両腕を持って汝を打ち砕かん」

 瞬間、弾けるように衝突した。

 穂先と拳がぶつかり合う。一度拳を引いたと同時に、槍が穂先がぶれると共に、弾丸の壁の如く弾幕が展開される。
 こちらも負けじと拳を振るいそれらを迎撃する。
 僅かに空いた隙を目掛けて拳を叩き込むが、それを見切られ迎撃の為に射抜かれる。
 一度でも拳を引いて、回避からの一打を叩き込もうとすれば一瞬で持って行かれてしまう。

 だが、笑ってしまう。後のことなど考えず、これら全て、互いの弾幕全てが牽制などでは無く、お互いに常に一撃必殺。
 
 あぁ……ッ! 

 歓喜にも似た震えが、滾る気持ちが背筋を走る。お互いがただ勝つためにその技術を惜しみなく叩き込めることがここまで嬉しいとは。あちらは俺がこの程度では死なないと知っている。こちらはこの程度では鎧を抜けないと分かってる。
 多少のダメージどころか、死ぬことはないと分かってるからこその攻撃と攻撃のせめぎ合い。

 ―――いいね、ヴァレン?

 不意に頭のなかに声が聞こえる。それは羨ましそうにも、嬉しそうにも聞こえる。もしかすると空耳なのかもしれないが、それでもだ。

 ―――羨ましいだろう
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