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魔法少?リリカルなのは UnlimitedStrikers
第73話 Rebooting Time 3 minutes.
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。なぜこのタイミングでお前は出てきて、こちらを攻撃した?」

「……」

 指で涙を拭う。短い会話でこの人が聖王……いや、ヴィヴィアン陛下だというのは分かった。だが、それでも腑に落ちないのが、あの時。防ぐだけで事足りたはずだ。
 確かにこちらはあの体にあるレリックを粉砕するための一打を放ったが、それでもだ。その後の反撃は――

「決まってるわ。既にこの身の鎧も弱まり、ゆりかごからのバックアップもほぼ意味を成さなくとも……私は……いいえ、私が貴方と戦いたいと願ったから」

 思わず舌打ちしてしまう。こういうのが一番対処に困る。怒り憎しみといった負の感情ならば、叩き落とせば、その元を断ち切ればいい。誰かのためというのなら戦わないという選択肢も取れる。

 だが―――

「ゆりかごが上がれば、世界が滅ぶということは無くとも、地上に住む者に多少なりとも被害が出る。その申し出は―――」

「限界高度まであと22分。ゆりかごに残ってるのは王室に居る人達だけ。ダメかしら?」

 そう言われてしまうと……あーあーあーあー。
 思わず空を仰ぐ。既に青空……と言うより、文字通り宇宙が見え始めてる。陛下の思ってることは分かった。おそらくずっと気にしてたんだろう。だが、それは戦としては仕方無い事だ。
 この王は俺と決闘をしたいと願っている。この船を壊しに来たが、それを過ぎれば……離脱も容易ではない。
 だが、それでも俺にはもう時間が残っていない―――

 ならば。

「すまない流。3分でいい俺の我儘に付き合ってくれ」

(構いませんよ。それで貴方の気が済むのなら。後のことはおまかせ下さい)

 良かった。いや、中に流が居るのだからこちらの気持ちはなんとなくでも伝わっているのだろう。それでも……良かった。

「というわけだ、王よ。3分だけ貴女に付き合おう。だが、心せよ、全力を出しても全盛期には届かないだろうが……こちらはお前の核を壊すためだけに動く」

「えぇ、構わないわ。その代わり3分、本当に全力で来て下さいね。もし時間いっぱいになっても……その時は私が自分で砕くわ」

 頬が緩みそうになる。正直な所、三分以上引き伸ばせばいいなんて言われたらどうしようかと考えてた所だ。コレでハッキリした。王は……。

 いや、それは辞めよう。それを問うのは……。

 あぁ、心地よいな。
 
 先程までは正直気乗りしていなかった。幼い子供を殴ってるようで、心が傷んだ。
 力も速さも守りも持ってた先程の子供は、付け焼き刃を持っても、本来の実力を出し切れていなかった。
 だからこそ、俺とキュオンは戦闘を引き伸ばすという、選択肢を自然と選んでしまった。

 でも今は、胸には暖かく、心地の良い風が流れ込んできているようだ
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