暁 〜小説投稿サイト〜
魔法少?リリカルなのは UnlimitedStrikers
第73話 Rebooting Time 3 minutes.
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「震離?」

 気が付けば居なくなってる震離の名を呟くことしか出来なかった……。


――sideヴァレン――

「おいおい。嘘……だろ……ッ!?」

 渾身のストレートを掴まれたと寸分違わぬタイミングで、聖王の拳が腹部に刺さる。

 完全に圧倒していた。完全に行動を読んだ上での一手。顔面ではなく、胸部を狙ったこの一撃を聖王は掴んだ。完全に恐怖に囚われ足が竦んでいたはずなのに……。

 いや、違う。問題はそこではない。
 
 問題は、聖王の放った一打は完全に経験者のそれだという事だ。

 しかも、綺麗に衝撃を通す一打に加え、俺の加速を利用した強い一撃。先程までではあり得なかった技術の一打。
 別に警戒してなかったわけでも、侮っていたわけではない。
 衝撃とダメージのせいで、自然と後退をしてしまった。
 
 同時に驚く。俺の後退に合わせて聖王が懐に飛び込んできた。咄嗟に右の膝蹴りを繰り出すも聖王は左脇で足を抱えてしまう。そのまま、後方へと反り、投げられる。
 飛んだ……という感覚ではない、玩具のように振り回されたような感覚。
 即座に体勢を立て直し、着地を―――

「な」

 驚嘆。聖王はそれを読んだ上で、俺の上を取って―――

「はぁい。久しぶりね(・・・・・)アオス(・・・)?」

 次の瞬間、拳を叩き込まれた。

 顔目掛けて飛んできた拳を、首を振って躱す。僅かに左拳が掠ったせいで右の頬が裂ける。
 だが、それ以上に現在の体勢が問題だ。投げられ体勢を何とか整えた俺に対して、あちらは拳を見せ札に、本命は―――

 ―――肩を壊しに来やがった。

 右手で、俺の左腕を取り肩を破壊するべくねじり外そうとしてくる。

 ここで腕を殺されるのは不味い。だがなにもしないのはもっと不味い。
 なればこそ。
 体を軸に、左手を取った聖王ごと体を回転させる。その間にも腕を外そうとする聖王。だが、そのまま掴んでいてくれれば――

 床に叩きつけられる!  

 だが、寸前の所で、それは失敗に終わる。時間が足りないと判断したのだろう、当てられる直前に腕の拘束を外し、間合いを取られた。それに対してこちらは何も無い床をただ叩きつけたせいか左腕が痺れる。
 
「……お前、誰だ?」

 なるべく平静を保ちつつ、聖王に語りかける。こうして話してる間にも右の頬からは血が垂れる。だが、思ってた以上に浅く、この程度ならばかすり傷程度だ。
 先程までの力と速度だけに頼った戦い方ではなく、今度はそれに正真正銘の付け焼き刃ではない技術が付与された。しかもあれは、こちらの動きを、根本的な部分を分かってなければ出来ない芸当。だとすれば……。

「……そうね。さっき言った通りよアオス。久しいね
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