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ある晴れた日に
88部分:小さな橋の上でその四
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小さな橋の上でその四

「鹿児島っていったらな」
「やっぱり薩摩芋だよな」
「そうだよな。焼酎とかな」
「そういうのだよな」
 そもそも薩摩芋の薩摩というのは鹿児島の旧名の一つである。土地の痩せていた鹿児島の地に植えられ忽ちのうちに彼等の主食となったのである。
「だからか」
「あいつも薩摩芋にこだわるのか」
「昔から薩摩芋好きなのよ」
 未晴は微笑んで咲のことを皆に話した。
「子供の頃からね。何かあったら」
「薩摩芋なんだな」
「あとどうせあれだろ?」
 ここで皆話の成り行きが読めてきた。
「豚だよな」
「他には鶏の刺身とかだよな」
 所謂鹿児島料理である。
「あいつ九州系だからな」
「やっぱりそれだよな」
「あいつラーメンは豚骨なんだよ」
 春華も言う。
「それが一番だって聞かねえんだよな」
「そうそう。明太子も好きだし」
「あとカステラ」
 静華と凛も続いた。
「そういうのが好きなのよね」
「ちゃんぽんとかね」
「完全に茜と正反対ね」
「そうね」
 彼女達の話を聞いた明日夢と恵美がこう言い合う。
「茜はラーメンはやっぱり札幌で」
「いくらとか鮭とか蟹とか烏賊が好きだし」
「やっぱりそれかよ」
「じゃあ肉は羊か?」
「そう、それなのよ」
 明日夢の皆への返答はこれであった。
「そっちが大好きでね」
「他にはメロンも」
「北海道と九州かよ」
「何でうちのクラスってこんなに地域性豊かなんだ?」
「それじゃあね」
「ええ」
 茜と咲はこの間にも言い争っていた。しかしそれもやがて決着がついてきていた。
「勝負よ」
「ラーメンなら負けないわよ」
 しかも皆がラーメンの話を出したそれにもなっていた。
「あの白い豚骨の美味しさこそがラーメンなんだから」
「札幌ラーメンこそが最高の味よ」
 ここでも平行線である。
「それを教えてあげるわ」
「お肉は豚よ」
「羊よ」
 これも皆が言ったそのままだった。
「それも白黒させるわよ」
「望むところよ」
「どっちが勝つのかしら」
「絶対引き分けだと思うわ」
 千佳に奈々瀬が述べる。彼女はもう先が見えているようである。
「これはね」
「大体どっちも芋じゃねえか」
 こう言うのだった。それも皆。
「結局のところ。そうだろ?」
「まあそうだよな」
「それはな」
 どうしてもそういう考えにならざるを得なかった。
「食い物なんてな」
「そうだよな」
「ところがよ」
 しかしここで彼等は言うのだった。
「あの連中それどころじゃないみたいだぜ」
「何か余計にマジになってるよな」
「どうするよ」
 とりあえずどうするかが問題だった。
「あの二人、今度はラーメンなんて言ってるしよ」
「こりゃ話に終わ
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