蒼紅:第十話 深淵
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Pスキルを放たれても回避出来る距離を保っていた。
「残念だが、死ぬのは貴様だ…アクセルヴォルト」
ソウが雷撃鱗とは違う紅い雷撃の膜を全身に纏わせながら構えた瞬間、ソウがメラクの視界から消えた。
「え…?消え…」
次の瞬間、ソウはメラクの背後に現れ、メラクの体が細切れになっていた。
細切れにされたメラクの体の欠片は膨張・爆発すると残った宝剣に亀裂が入って、今までの能力者のように何処かへと転移された。
「ふう…まさかこのスキルを使わされるとはな…」
先程使用したスキルは消耗が激しい欠点がある。
おまけに10秒間しか使えないため、使うタイミングを考えなくてはならない。
しかし、消耗と使用時間のことを考えても強力なスキルなのは確かなのだが。
『お疲れ様、ソウ。報酬は用意しておくからプレゼント選び、頑張って』
「…了解だ」
海底トンネルを出た後に、フェザーからの報酬を受け取るとソウはどんなミッションよりも高難度なことに挑むことになる。
そしてプレゼントを吟味している時、この時のソウはテーラに対しての礼の品を探すのに夢中で物陰から見つめる影に気付かなかった。
「おお…マジでソウがプレゼント選んでやがるぜ…」
「ね?嘘じゃないでしょう?」
「あんなに女の子に興味関心を示さなかったソウがなぁ…」
物陰から覗いていたのはモニカとジーノであった。
ソウが女の子へのプレゼントを選ぶと聞いてジーノは半信半疑ながらもソウを追跡していたのだが、それが真実であることに驚愕する。
「通りかかる女の子がソウをチラチラ見てやがる…あいつは性格に難があるけど容姿は良いからなぁ…」
何せ兄弟揃って容姿端麗だ。
特にソウは長い銀髪に色白の肌、そして鋭い目付きも相俟って非常に目立つ。
「ジーノ?嫉妬は醜いわよ?」
「分かってるって…はあ、俺だって顔は悪くないはずなのによぉ…やっぱり女の子はああいうのに惹かれるのかねぇ…それにしてもテーラちゃんはマジで凄ぇな…あんな枯れていた堅物に興味を持たせるなんてよ」
「そうよねぇ…ソウが女の子にプレゼントなんて昔の私達に言っても絶対に信じないわ」
「だよなぁ!!」
「おい」
「「あ」」
「お前達はここで何をしている?」
冷たい目でこちらを見るソウにモニカとジーノは身の危険を感じた。
「ま、待て待て…落ち着けソウ…話せば…」
この後の2人がどうなったのかは想像にお任せする。
因みにジーノの隣に倒れていたモニカの頭に高級菓子の詰め合わせが置かれていた。
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