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魔法少?リリカルなのは UnlimitedStrikers
第72話 Stronger Than You.
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放心しちまったじゃねーか」

「フフ、まぁこれから成長するのだから、コレくらい慣れてくれないと。
 それよりも……ねぇ、ヴァレン? コレは私と貴方の意思。あの時も、そして今も。私はそうは思ってないよ。
 それとも、数百年で貴方はすっかり丸くなってしまったのかしら?」

 は、と短く吐き捨て彼は笑う。
 
 ―――さて。

「―――今度はそんなに待てないからね」

 あぁ、と呟くように、愛おしそうに言ってくれる。

「―――分かってる。またな」

「はい、また」

 数百年という、長い間溜め込んだ魔力により身体強化。即座にゆりかごの進路方向へと跳ぶ。

「「いざ」」

 距離が離れて居るにも関わらず、彼の声が聞こえた。己の手首を歯で噛み切る。滲み出る血を眺めつつ、魔法陣を展開し、そのまま跪く。両手を組んで、瞳を閉じて、心を落ち着かせる。

 既に体を蝕む痛みは感じない。だが、代わりに感じるのは少しずつ私が消えていく感覚を。

 好き好んで、真祖になったわけではなかった。
 なりたくなかったと、何度も何度も泣いたときもあった。
 
 だが、今ではそれを感謝している。お陰で私はここまで生きて、もう一度出会えることも出来て、この力を与えてでも救いたいと思う子にも会えた。
 空に漂う虹の光が徐々に収束していくのを感じる。
 
 だから私は願い、乞う。

 ―――この身は悠久を生きし者。ゆえに誰もが我らを置き去り先に行く。

 ―――ああ、日の光は要らぬ。ならば夜こそ我が世界

 ―――されど、我は輝きに焼かれたい。追い縋りたい、されど、追いつけない。

 ―――追おう、追い続けよう何処までも。我は御身の胸で焼かれたい。

 瞳を開ける。天を仰ぐ。かつて背を向けざるを得なかった、陽の光をこの身に浴びる。熱は感じない筈なのに、心が暖かくなるのを感じる。

 そして。

「灰燼とかせぇえええええぇぇぇえ!!」

 遠くから、怒号の様に叫ぶ彼女の声と共に極光が奔った。



――side震離――


 瞬間、皆の動きが止まった。太陽の光に負けず劣らずの虹の極光、そして、ありえないほどの魔力の奔流を感じて。

 響がフェイトさんが叫ぶ。老婆とスカリエッティが勝利を確信して嘲笑う。

 だが、それは長くは続かなかった。

 虹の極光は、壁に隔てられるように、紅蓮の炎によって、行く手を阻まれてしまったのだから。

 奇跡という物は無いと思ってた。どんな事象もそれまでの積み重ね故に起こる。故に奇跡等無いと考えていた。

 しかし、目の前でそれは起きた。人の身では……最強と恐れられたゆりかごの雷を、あの人は1人でそれを止めて見せた。
 両手を組み、瞳を閉じ
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