暁 〜小説投稿サイト〜
魔法少?リリカルなのは UnlimitedStrikers
第72話 Stronger Than You.
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見できない筈なのに、それでも視線がモニターへ移るのをやめられない。
 
「……なんだけど」

 どことなく安心した様子の声色に変わり、

「最強と最強が、三度目の共闘を果たした今ならば……あれくらい何とかなるよ」

 そう告げる震離の声が、寂しそうだったのがとても印象的だった。


――side震離――

 告げられていた。言われていたんだ。

 予言の後半部分は何が何でも阻止しなければいけないんだ、と。

 ゆりかごの雷、全てを滅ぼす虹の極光。ゆりかごが最強たる由縁。

 モニターがどんどん滲んでいく。左手を必死に動かして、響から頼まれたことを達するために。

『今、この瞬間を持って貴女をマスターと認めましょう』

「……う゛ん。ありがと」

 声が震える。私の胸のロザリオが……エクスピアシオンが、そう言ってくれた。
 きっと流なんかは、大泣きしてるんじゃないかなって。僅かな期間しか居なかった。
 だけど、それでも……濃密な期間だった。知らないことを教えてくれて、何より英雄って案外ズボラ何だなーって分かって幻滅して……。

 それでも、あの2人がなのだと言うのが痛いほど分かって……。

 二人共深く愛し合ってるのも分かった。

 祈っても無意味だと思う。神なんて信じてないから。だからコレは願いだ。
 
 どうか、どうか―――


 

 ―――あの方々に、安らぎを。




――sideキュオン――

 懐かしむように、彼との会話を楽しむ。
 こんな姿なんだ、他に比べれば若いつもりで居たけれど……年甲斐もなくはしゃいでいるらしい。
 久しぶりの表での戦で、隣には彼が居る。
 ただ、それだけの事実が私を掻き立てる。
 はしゃぐには申し分ないな。

 再会してからも、こんな他愛もない会話をしていたんだけど……やはり青空の元だと、やはり高揚してしまうんだなと。

「ヴァレン」

「……そうか、分かってたことだが。直前になるとこみあげるものがあるな」

 表情は見えない。だけど、僅かに口調が静かになったのが分かる。

「あら、泣いてくれるの?」

「まさか」

 目の前に、いや、空を虹の光が埋め尽くす。圧倒的な魔力。それは国を滅ぼす雷となる必滅の雷。

「でも、コレは懐かしいよ。初めて共闘した時の事を思い出すね」

「あぁ、懐かしいな。あの時は二人で叩き込んで勝ったな。あの時と同じく面倒事を―――」

 掛ける。というより先に彼を抱き寄せ、口を重ねる。唇を浅く開けて、彼の唇を啄むように。

 カリッ、と。

 彼の上唇を小さく噛み切った。肉を断つ感触を感じつつ、舌先に僅かに血を乗せて飲み込む。

「……お前、流が
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