第百二十話 王都攻略その十
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「そうするべきだ」
「そうだよな、あと地中湖にな」
久志はここでさらに言った。
「黒湖もな」
「この浮島の東の果てだ」
「その池もだな」
「あちらもな」
「手に入れるべきだ」
「そうだよな、じゃあな」
「まずはな」
「東に進出だな」
「そうすべきだ、ではいいな」
「ああ、まずはな」
「東だ、ではこの戦の始末が終わればな」
「ローマに戻るか」
「備えの兵を置いたうえでな」
そうしようというのだ。
「是非な」
「それじゃあな」
久志は芳直に応えた、そしてだった。
実際に今回の戦の処理が終わるとローマに戻った、こうして地中湖南岸は古王国まで全て彼等の勢力圏となった。
そうなってローマに戻ってだ、久志は仲間達に言った。
「さて、これからな」
「即位ですね」
「ああ、それだよ」
まさにとだ、久志は夕子に応えた。
「俺が皇帝になってな」
「そうしてですね」
「国を帝国にするか」
「そのことですね」
「どうするかだな」
「即位自体は」
夕子は彼に即座に答えた。
「いいことだとです」
「思うんだな」
「はい、ただ即位の際に」
この時にというのだ。
「どなたからです」
「誰から?」
「冠を授けられるか」
皇帝のそれをというのだ。
「大事です」
「皇帝って言ってそれでか」
「なるものではです」
ないというのだ。
「この浮島では」
「ああ、中国じゃそれでな」
「いいですが」
「ここだとな」
「権威は皇帝だけではなくです」
「教会にもあるな」
「それもカトリックにプロテスタントに」
教会にというのだ。
「他の宗教にも」
「こっちの浮島の宗教は複雑で多彩でな」
「私達の起きた世界の欧州と似ていますが」
「宗教的にはな」
「はい、魔術や錬金術があり」
もっと言えばモンスター達もいる、そうしたところは彼等が起きた世界とは全く違っているのだ。それは夕子も言うことだった。
「そして宗教もです」
「そうした状況でな」
「権威はそれぞれの宗教に存在します」
「それじゃあな」
「はい、どなたから帝冠を授けられるか」
「ちょっとわかりにくいな」
「日本の天皇陛下は違いますが」
夕子はここで自分が起きた世界の話をした。
「神道の言うならば最も尊い方です」
「そうだよな、だからな」
「はい、即位にあたってです」
「キリスト教とは無縁だしな」
「どなたからもです」
宗教的権威、そうなっている存在からというのだ。
「帝冠を授けられません、これは中国の歴代王朝も同じで」
「だよな、帝冠を授けられるってな」
「欧州のことです」
この地域の皇帝だというのだ。
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