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その男ゼロ ~my hometown is Roanapur~
1st bullet 《hello & good-bye》
chapter 01 : conversation
#01 "Welcome to Roanapur"
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にも文句は言わせねえ。
ゼロの奴にだってな………





Side ダッチ

「ダッチ、もう話は終わったのか?」

日本人をレヴィに任せた後、ゼロのやつが声を掛けてきた。やれやれ、話が終わったのかもないもんだぜ、全く。

「ああ。
お前が呑気に海を眺めてる間にな。
んな余裕があるんだったらレヴィのやつを押さえるくらいのことはしてくれても良かったんじゃねえか? アイツの相手をするってのが、ラグーン商会(うち)でのお前の大事な仕事の一つだと俺は認識してたんだがな」

片手で肩と首の凝りをほぐしながら愚痴る俺。
我ながら情けない姿だが、最近のレヴィはとみに機嫌が悪い。
あまり大口の仕事も舞い込んで来ねえしな。

「レヴィの相手なんて誰にも務まらんよ。何せロアナプラに悪名轟く二挺拳銃(トゥーハンド)だぜ。
俺達に出来る事はただただ嵐が過ぎ去るのを大人しく待つことだけだろ。
ま、それはともかくとしてだ。
あの日本人だが、もう解放してやったのか?
あんたが戻ってゆくのを見届けてやったのか?」

肩を竦めながらそう(うそぶ)くゼロの言葉は全く俺の心を癒しちゃくれなかった。
本当にラグーン商会(うち)の従業員どもときたら……

「いや、レヴィにそうするように伝えた。まあ聞きてえ事は聞いたからな。 もうあの日本人(ぼっちゃん)に用はねえよ。
あいつが日本の旭日重工から運んできたのはディスクが一枚のみ。で、ボルネオ支社長に渡すまでは厳重に保管しておく事。 バラライカからの情報ときっちり符号したぜ。 後はこの"ブツ"を渡しゃあ今度の仕事は終了。
なべて世は事もなし、さ」

俺達ラグーン商会は運び屋。 頼まれた品物を決められた場所に決められた期限までに届けんのが仕事だ。 たまにゃあ今回みてえに運ぶ品物自体を態々(わざわざ)ぶん盗ることもあるが、それはまあお得意さん相手のちょっとしたサービスだ。 なんせバラライカは……

「で、大丈夫なのか?」

「ん?」

大丈夫か、だと。
眉をひそめながらゼロのやつに聞き返す。
仕事はもう半ば以上終えたも同然。後はロアナプラに戻ってバラライカまで届けりゃそれで終わりだろうが。
心配する事が何かあるってのか?

「フィリピン海軍ならまだ距離はあるぜ。 ロアナプラに戻るのには充分…」

怪訝そうに話す俺の言葉を遮り、ゼロが思わぬところから心配の種を放り込んで来た。

「いや、レヴィのやつさ。 アイツとあの日本人二人きりにしたんだろ? そっちの心配だよ」

レヴィ? そっちの心配?

不審気な俺の顔色を読み取ったか、ゼロが甲板を此方に向かって歩きながら言葉を繋いでくる。

「アイツは自由なところが魅力だが、その分周りを振り回す
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