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魔法少?リリカルなのは UnlimitedStrikers
第66話 決着、あなたを慕う事
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す。それ以上は俺が」

 未だ焦点が合わない瞳で、こちらを見上げる視線にドキリとしてしまう。

「フェイトさん。心から感謝を、ありがとうございます……その上で。俺はかつて心を折り、命を投げ出そうとしました」

「はい」

 彼が繋げるように。

「俺はきっと何も出来ないでしょう」

「……はい」

 少し悲しくなる、だけど、彼の言葉を途切らせる訳にはいかない。

「きっと貴女を悲しませることをしてしまう事があるかもしれない。事実俺はずっと側にいた人に気付かず、傷つけていた」

「……は、い」

 心がざわつく、だけどコレは彼の本心だから。

「そして、逆の立場ならば……俺は間違いなく、切り捨てていました。『1』を切り捨て、『9』を救うという考えを以て」

「……」

 あぁ、コレは……、いや。分かっていたことだ、分かっていたことなんだ……だから。耐えるんだ、私。

「だけど、貴女はそれを覆した」

「……へ?」

 声が震えてる。私の声も、響の声も。

「ドン底に、捕まって尖兵として使われているにも関わらず、貴女を殺そうと刀を向けた俺を、貴女は救ってくれた。
 俺には到底出来ないことを。貴女はやり遂げて……助けてくれたからじゃなくて、ただ純粋に俺は貴女に惹かれました。弱いこの身ですが、守りたい、と。心から共に居たい、と」

「……ぁ」

 思わず両手で口を覆ってしまう。カタカタと口が震える。情けない声が漏れてしまう。

「だから、だから……。貴女に伝えます。こんな俺ですが……貴女を心から慕ってもいいですか?」

 私を見上げたまま、涙を流してる。だけど表情は晴れ晴れしい響を見て、私はただ、ただ頷くことしか出来なかった。

 こんな私でいいのかな? 一度は貴方を疑った。嫉妬でいらない暴力を振るったこともあった。

 何より、貴方を救う為とは言え、全力の一撃を貴方に見舞った私なんかで……。

 だけど……。

「……は、い」

 頷くことしか出来なくて、伝えたい言葉も少しも言えなかったけれど―――

 半ば引き寄せるように彼を抱き起こして、背中に手を回す。間を置いてから彼の腕がこちらの背を回り、腰を回る。でももっと触れてほしくて、深く抱いてほしくて、ずっと貴方の体温を感じたくて、思わず身を捩ってしまう。

「響、呼び捨てで呼んでほしいな」

 そう言って目を閉じた。

「はい、フェイト」

 服と服が擦れた音の後、唇を重ねた。勢い余って歯が当たるけど……全然構わない。ギュウッと力を込めて抱きしめる。
 不思議だなと思う。お互いに歩んできた道は全然違うのに、今こうしてここで抱き合っているんだから。愛おしそうに私の髪を撫でる彼の唇を離して、
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