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魔法少?リリカルなのは UnlimitedStrikers
第60話 敗戦と次への決断を
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 そして、ギュッと先輩を抱きしめて。

あの人()がどういう敗け方をしたかわからないですし、攫われた以上取り返せばいい。生きてる可能性が低いのも分かります。だから、どっちに(・・・・)しても取り返すことに変わりはありません」

 ビクリと先輩の体が震えたのがわかった。私だって最悪な事は考えたくない。だけど……考慮しなくてはいけないんだ。

 だからこそ……。

「ここで私達がするべきは後ろを向いて後悔することよりも。前を向いて次を、その先を見つめないと」

 ボロボロと涙が溢れてくる。今更になって悔しさがこみ上げてくる。私も、紗雪も、時雨も、煌も、優夜も……そして、響でさえも負けてしまったんだと。実感したから。下手すれば震離も流も何かあったかもしれない。 

「だからこそ。響とヴィヴィオが帰ってきたら胸を張っていいましょうよ―――おかえりなさいって」

「……うん、うん!」

 2人で抱き合って涙を流す。今のうちに悔しさも何もかもを出して置く。

 だからこそ、次に会ったら必ずリベンジを果たすんだ。仇討じゃなくて、管理局員として!



――sideはやて――

「……嘘やろ?」

『……残念ながら事実だ。9月9日。第23管理世界、世界名称ルヴェラの北部の山中にて起きた火災現場から多数の焼死死体の中に、1つ……すまない。1人のみ遺伝子情報を引き出すことが出来た』

「……せやけど、それでもや!」

 通信越しに思わず大声を上げてしまう。

『……他の部位は遺伝子情報を取れないほど燃えていたが、彼女(・・)の右腕だけが、多少の損傷はあれど確認が取れた。そして、その近くには背丈が似たような遺体もあった。
 叶望震離一等空士は……もう』

「クロノくん! もう、ええよ……。万が一にも可能性は無いんやね?」

『……あぁ。他の遺体から遺伝子情報を出すことが出来たらいいんだが。焼けてしまった上に、元々酷く損傷していたらしい。これ以上は……』

 頭がこの事実を認めたくないと叫ぶ。けれど、どこか冷たい部分で、私は認めてしまっていた―――

『……続報が出たらまた伝える』

「……うん、ありがとう」

 ブツン、と通信が切れると同時に、背もたれに体を預ける。

 感情は不思議なほどに落ち着いているのを感じて、軽く自己嫌悪に陥る。今がこんな事態だからか、それとも職務上か。それとも……私が、こんな人やからか?
 
 この数日にあまりにも多くの事がありすぎて、何故だか余り現実味を感じられない。

 ……何も無い山奥での、地元民曰く、吹雪の日に現れる幽霊屋敷と言われた場所での大規模火災。火災が終わった頃にはほとんど何も残っておらず、犯罪組織が関わっているかもしれな
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