暁 〜小説投稿サイト〜
魔法少?リリカルなのは UnlimitedStrikers
第58話 終わりの始まり
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「……チンク姉。さっさと捕まえて戻ろう」 

 あぁ、最悪。この後どうするかも告げられないまま、戦闘が始まりだすしよ……。

 ちらりと視線をずらせば―――

「よそ見はダメよ」

「っ、―――だよな」

 迫りくる右拳を刀を抜いて、受け、流す。流れるように左拳が向かってくるのを、鞘で受け止め弾き返す。そのまま体を右にずらして、がら空きになった背後から一撃を振り下ろす。が、体制を崩しているにも関わらず右の拳が最短を走って来るのを見て、それを躱す。
 それからはその繰り返し、迫り来る2つの……否、乱舞の如く繰り出される連撃を、横から統べるように刀で鞘で弾いて流す。
 
 鈍い鉄の音が辺りに散らすのを感じながら、刃が、拳が触れ合う度に飛び散る火花も、音も一瞬たりとも掻き消えることはない。
 短い時間で、何百、いや何千と到達しそうなその斬り合いを、紙一重で捌いていく。

 徐々に歓喜の笑顔を見せるヌルを見て、舌打ちする余裕すらないことに気づく。あちらは十全な魔力と、鉄の拳でこちらに向けてるのに対して、こちらは花霞一本。それも……。

 一撃を受ける度に罅が入っては、即時に修復を繰り返してる状態だ。

 いや、これは良いわけだ。分かってたじゃないか。花霞では……脆いという事を。それでもこの子を使い続けたいと願ったのは。皆がわざわざ作ってくれたこと。せっかく綺麗な刀身に可愛らしい鞘。

 なによりも。

 ―――全身全霊を持って、あなたに御使えいたします。

 AIだから、そういったのかもしれない。だけど、こんな小さな子がこんなに嬉しいことを言ってくれたんだ。使い手がそれを使いこなせずなんだと言うんだ。俺の魔力が少ないことを考慮して作られたデバイスに報いる為に、何よりお前は弱いデバイスではないと証明したいんだ!

 だから。

「あら?」

 大きく弾いて、距離を取る。

「花霞。行くぞ」

『了』

 刀を鞘に収めて、腰に差して居合の構えを取る。そして、踏み込んだと左右にフェイントを入れて撹乱。そして、不意に接敵したと同時に鞘を走らせ、抜いたと同時に振り抜く―――

「……マジか」

「……見えてても(・・・・・)この速度。やっぱり……最高よ、ヒビキ!」

 完全に捉えたはずだった。だが、現実は振り抜いた直前で止められた。

 が。コレでなんとなくわかった。考えたくないけど……コイツは。
 
 ……なら、俺の勝利条件は。

 もう一度大きく弾いたと同時に距離を取る。そして、懐に手を突っ込んで、札を握りしめて、全力で気合を込めて。

(紗雪!)

(え、あ、響?! 良かった無事だったん)

(5秒後に二人(・・)を転移! 急げ!)

(了解、
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