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手伝わせない理由
第二章
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「果たして」
「ああ、必要だ」
「本当にな」
「うちは経済学も必要だ」
「だからそっちを勉強してこい」
「私としては」
 高校人額の時よりもだ、由梨は自分の考えが出来てきていたのでそれを言った。
「建築学を学んで現場でね」
「頑張っていきたいか」
「自分で身体を動かして」
「そうしていきたいか」
「そう思うけれど経済学なのね」
 周りの言葉にどうかと思った、だが。
 家族全員で、祖父母も両親も兄弟も親戚も言うので自分の考えよりもその方がいいのかと思ってだった。
 それで大学は経済学に進みそこで経理も学び帳簿の付け方等も学んだ。そして大学を卒業すると晴れて家の会社に就職したが。
 由梨は事務に回された、そして会計も担当した。だが由梨は会社の事務所にいてそれで会長である祖父の勤吾に言った。七十過ぎだがまだまだ現役で灰色がかった薄い青の作業服がよく似合う陽気で逞しい男だ。
「あの、お祖父ちゃん」
「何だ?」
「いや、私現場に出なくていいの」
「ああ、いいぞ」
 祖父は孫娘に笑って答えた。
「お前は事務や会計だろ」
「実質事務だけれど会計もやってるわね」
「そっちの仕事に専念しろ」
 プレハブの事務所の中での言葉だった。
「お前はな」
「私はね」
 由梨は祖父にさらに言った。
「やっぱり」
「現場でか」
「工具持って重いもの担いで」
 そうしてというのだ。
「働きたいけれど」
「いざという時は頼むな」
「私がいつも言ってもお祖父ちゃんもお父さんもお兄ちゃん達も止めるじゃない」
 由梨は祖父に抗議した。
「着ている服は作業服でも」
「だからな」
「どうしてもっていう時はなのね」
「頼むからな」
「普段はっていうのね」
「ここでお祖母ちゃんやお母さんやな」
 他にも女性社員達がいる、皆事務や会計をしっかりしている。
「皆と一緒に頼むな」
「そうなのね」
「ああ、いいな」 
 こう言ってだった、祖父は孫娘を決して現場に出さず事務所での仕事に専念させた。由梨はそれが不満で仕方なかったが自分の仕事は真面目にした。
 その中で由梨も彼氏、交際相手が出来てその相手と幸せな時間を過ごす様になりやがて結婚することとなった。親戚全員でこのことを喜び結婚式は今時珍しく結婚式場で見事な披露宴となった。その時にだ。
 祖母の麻紀、由梨によく似たもっと言えば由梨ははっきりとその血を受け継いでいるがその彼女が言うのだった。
「あんたの顔が奇麗でよかったわ」
「奇麗って私が美人ってこと?」
 由梨は祖母の言葉をまずはこう捉えた、それで笑ってこう返した。これから式でありウェディン愚ドレス姿で言った。
「私そんな風には」
「その意味でも奇麗よ、ただね」
「もう一つ意味があるの」
「そう、あんた
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