暁 〜小説投稿サイト〜
魔法少?リリカルなのは UnlimitedStrikers
第54話 PM20:42.
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感情を出さない人は初めてで……怖い。
 今だってそうだ。黙ってこればいいものを、わざわざ時間を掛けてゆっくりとコチラに向かっている事。

 何より、いつかの制限を外したなのはさん並の大きな魔力反応だということ。曲がりなりにも隊長と呼ばれるほどの人。しかもこんな裏の部隊を纏めていた人が只の人の筈がない。

 ……私にやれるか?

 いいや、違うな。やるんだよ。最後の終わりのそこまでを、徹底的にやるんだ。

 転移ポートの上で倒れる流の側まで寄っていく。

 その間にもう一度、この場合の最悪とは、私が早期に破れること……そうした場合二人共ここで死ぬ事。それは……それじゃあ、あんまりじゃないか。
 
 ゆっくりと流を抱き起こして、ギュッと抱きしめる。既に体が冷たくなりつつ有る。流が終わってしまいそうになってる。

 さぁ、ここにおける理想とは。私があいつを数分で打ち破って、流と共に避難して、治療を施して……それから、それから。

 あぁ、そうだ。六課へ帰って。皆にこの事を伝えて対策を取って。

 それから、それから……。

「……しん……りさん、行か……ないで」

 ギュウッと抱きしめる。この後のことが怖い。時間が無さ過ぎて嫌になる。涙が出てきそうになる。

 だけど、それを堪えて。流をしっかり見て。不安そうな顔をする顔に撫でるように頬に手を添えて……抓る。

「……しん……り……しゃん、いひゃい」

 そんな声が、そんな顔が可笑しくて笑っちゃう。

「何処にも行かないよ、このさみしんぼめー」

 あなたと一緒にいたい。側についてあげたい。

「私は必ず追いかけるから。だから流も安心してね」

 恐らく私は追えない。ごめんね……。ごめんなさい……ッ。

「……だから、流。一旦さよならだ」

「……ぁ」

 小さく声が漏れた、何かを言いたげにしているけれど。もう時間がない。既に4発目を撃たれた。直ぐそこまで来ていることが分かる。
 
 流の懐から、いつか貰ったロザリオを出して。それを握らせて、もう一度ゆっくりと抱きしめる。

 ずっと考えてたんだ。流が体を奪われかけたあの日。どうしてマリさんが……いや、キュオンさんがあの日助けに来たことを。本来ならあんなリスクを背負ってまで来る必要は無かったはずだ。
 そして、ウィンドベル夫妻がこの子を失敗作としたということ。それがどうしても納得できなかったし、おかしいと思ってた。夫婦が運んだ、遺跡から運び出された体は――オリジナルは何処にいった? それがないのに、目の色から背丈まで同じ人造魔術師を作り出すにしては効率が悪すぎる。
 だから、私はこう考えた。ウィンドベル夫妻は流という人を助けるために敢えて失敗作として違う場所に保管してい
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