暁 〜小説投稿サイト〜
悪人達がサキュバスに転生しましたが、容姿が見た事のあるキャラばかりでした
もと傀儡の国王は、とある対有機生命体コンタクト用ヒューマノイド・インターフェースとなる
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3人が探索に出かけた。
心配だけど、アイズさんがいるし、里美さんのかけた魔法もある。
だから大丈夫…多分。

「あれが私。」

大きな鏡に映る自分の姿。
眼鏡をかけた大人しそうな少女。
着ているのは学校の制服。
ちょっと足が寒い。
スカートを穿くなんて、初めての経験だ。
長門有希。
涼宮ハルヒの憂鬱に登場する女の子。
まさか、彼女になるなんて。
驚いているけど、鏡に映る少女の顔は無表情のまま。
転生しても僕は僕か。

「拠点できたぞ。」

オティヌスさんが扉を指差す。
大地の力で、ダンジョンに拠点を作った。
イメージして、ほんの数秒で。
不可能を可能にするチート能力恐るべし。

「適当に作ったが、あとで作り直せるし、とりあえず聞いてくれ。」

僕達が頷くと、オティヌスさんは説明を始める。
拠点は、上層と中層と下層の3階層。
施設は追々追加していく予定で、とりあえず…。
上層が憩いの場や食堂。
中層が各自の部屋や温泉。
下層は、とても大事な場所。
僕のチート能力を使う場所でもある。

「あっ、ちょっと待って!」

早速行こうとしたら、里美さんに止められた。

「これに魔法をかけるわ。」

コンコンと扉を叩く。
ダンジョンと繋がっている唯一の扉。
魔法に詠唱は必要ないらしく、また数秒で終わった。
かけた魔法は3つ。
僕達以外は壁に見える魔法。
僕達にしか開けれない魔法。
壊されたら警報が鳴る魔法。
用心に用心を重ねるのは大事だよね。
オークが出るような場所だし。

「お待たせ。さあ、行きましょう。」

上層から中層へ、中層から下層へ、順々に下りて行く。
3階層の中で、下層が1番広い。

「有希の要望通り、広く作った。」

「有希ちゃん、よろしくね!」

「頑張って!」

あああ、何年振りだろう。
誰かに頼みを聞いてもらったり、期待や応援されるのは…。
僕は小さな国の王だった。
大臣達の言葉に従うだけの…傀儡の王だけど。
逆らえば、両親や兄弟達と同じく、暗殺される。
ごめん、国民達。
僕が弱いばかりに、大勢を苦しめて、死に追いやった。
いつも身の回りの世話をしてくれたメイド達。
味方ではなく、大臣が用意した僕を監視する者達。
ずっと1人で孤独だった。
おかげで、顔から表情がなくなった。

「有希?大丈夫か?」

「はっ!なんでもない、平気。」

つい転生前の事を思い出して、ぼーっとしてしまった。
今の僕に出来る事を精一杯しよう。
もう傀儡の王じゃない。
床に触れて、チート能力を解放する。
生える。
下層に沢山の木々が、どんどん生える。
植物の力。
木々を生み、食べ物を実らせる。
それが僕の力。

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