純粋なお遊び
合縁奇縁のコンサート 27
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たか?」
「ええ。アーレストさんが奮発してくださったおかげで、お釣りまで頂いてしまったわ」
ポケットに入れておいたお釣り入りの布袋を返そうとしたのに、アーレストさんは首を振って返却を拒否する。
「それは一ヶ月もの間教会のお手伝いをしてくださった貴女方への謝礼です。今後何かあった時の為に取っておいてください」
「え、でも」
私が布袋を預かった時は、「私が予算を出しますから、マリアさんが品物を選んでください」って……
「…………アーレストさん」
「はい?」
「このペンダント、アーレストさんから二人に渡してください。もう一品購入してあるので、私からはそちらを渡します」
「ですが、」
「構いませんよね? これから街を出るアーレストさんにはお買い物できる余裕なんてありませんし。市場も既に閉まってますし」
「う……」
布袋の代わりにペンダントを差し出せば、ちょっとだけ困り顔で微笑むアーレストさん。
そもそもの発端は、私達の為に百合根料理を作ってくれたクロスツェルと、それを提案してくれたロザリアへのお礼がしたいという私の我儘なのよ。アーレストさんは、何も持っていない私に気を遣ってくれただけ。
だからって、再三にわたって「貰う訳にはいかない」と言い続けてきた物を、こんな形で受け取らせようとするとは思わなかったけど。
お世話になっていたのは私達なのに、律儀なのか強情なのか。
「……分かりました。ご協力に感謝致します」
「此方こそ、ありがとうございました」
「いえ。ですが、その……」
「?」
「これは、なんでしょうか?」
ペンダント二本と一緒に手渡された物を見て、アーレストさんの首がこてんと傾いた。
まだ「それ」の説明を聞いていなかったリースリンデも、頻りに瞬きを繰り返す。
「アーレストさんに似合いそうだったので、ついつい買ってしまいました。」
「私に、ですか?」
「はい。」
「…………」
うーん、困惑してる困惑してる。予定に無かった買い物だし、当然の反応よね。
でも、現物を一目見て想像してしまったんだもの。
これを付けたアーレストさんは、絶対に綺麗だって。
「……不思議な事もあるものですね」
「え?」
突然やんわりと目を細めたかと思えば、自身の長衣の袖に手を入れ
「……え!?」
「それ」と同じ形・色違いの物を取り出してみせた。
「先程、お説教が終わると同時に自警団の方々と子供達が駆け込んでこられまして。お土産を探している五歳前後の女の子が此方に来ていないかと尋ねられました。お心当たりは?」
「え、ええ……あるわ。自警団は、分からないけど」
「やはり、そうでしたか」
さっきのざわめきはそういう……って、あの子
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