純粋なお遊び
合縁奇縁のコンサート 27
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金で十分に支払える額だった。
お金の価値も物価も詳しくは聞いてないけど、ペンダントよりも洗剤のほうが高い事実を考えると、やっぱり洗剤は気軽に買える物じゃない気がする。生産販売数が限られてるとか言われても納得しちゃうもの。
それでも精算した後「いつかまた遊びにおいで」と笑顔で見送ってくれたおばさまは、きっとこの街で一番の遣り手商人だわ。
だって、初見の私に「また来たい」と思わせてしまったんだから。
「お帰りなさい、聖天女様」
「にゃっ!」
「ただいま、リースリンデ。ティーも」
適当な物陰から空間を跳んで寝室内へ戻った私に、テーブルの上で羽根ペンを持って立つ精霊と、ベッドの上で丸くなっていたゴールデンドラゴンが声を掛けてくれた。
「アーレストさんは……まだお説教中なのね」
「はい。いつもなら十分後に夕食の予定ですが……」
言葉を濁したリースリンデの視線の先には、壁と女神像を挟んで「一日中、休み無く」お説教と雑談を交互に続けているアーレストさんが居る。
この教会でのお勤めは今日が最後だからと言って、一時間の睡眠すら惜しんでずーっとお仕事してるのよね。気持ちは解らなくもないけど、でも、そろそろ食事なり水分補給なりで一休みして欲しいわ。突然倒れてしまいそうで、見ている私達のほうが心配になっちゃう。
現在アーレストさんを止められる唯一の上司・コルダさんも、メルエティーナ伯爵の館に招待を受けて出掛けてしまったし……ああもう、もどかしいったらない。
「にゃに(なに)、みみみゅみゅにょにょみゃみゃみゅにゃい(気にすることはあるまい)。にゃーにぇにゅにょみょみっみゃにゃにょにょにゃ(アーレストも立派な大人)。にょにょにぇにょにゃいにょにゅにゅにゃい(己の体力くらい)、にゃあにゅみにぇにょにょう(把握しておろう)」
「体力の問題、なのかしら」
「にゅむ(うむ)」
「人間の生態って、よく解らないわ」
「私も、聖天女様に同意です」
くわわぁ〜と欠伸をするティーの前で、私とリースリンデは静かに頭を振った。
「それはそれとして、聖天女様。目的の品は見付かりましたか?」
「ええ。ほら、これが二人の分」
買って来た品々をテーブルの上にそっと置き、ペンを持ったまま数歩下がったリースリンデに、どんな物かを説明しながら見せてみる。
「防寒具にもなるペンダントと……脂汚れを落とす洗剤……、ですか」
「どっちも実用的で、あの二人には丁度良いかなって思ったんだけど。何か問題でもあった?」
「いえ……」
洗剤の説明を始めた途端に眉を顰めておいて、何も無い事はないでしょうに。
「…………普通の人間が使う分には問題無いです。今更ですし。ただ、アーさんの近くでは極力使わせないでください
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