§8 逃亡した魔王の反省会
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? 草薙護堂以外のカンピオーネが日本にいたというのか?
「羅刹の……君?」
「左様」
「な!? そのようなこと、我々は認知しておりません!!」
「そりゃあ、話さなかったからな」
黒衣の僧の話に取り乱す男にあっさりと返す須佐之男命。
「このことはここだけの話だからな? 絶対現世で漏らすなよ」
「……おっしゃる意味がわかりかねます」
「アイツは自分の存在を秘匿することを望んでいる。下手に探ると火傷じゃ済まない痛手を被るぞ。オレもバラしたことアイツに知られたら何言われるかわかったもんじゃねぇ」
途中からぼやきに変わった須佐之男命に引き続いて、黒衣の僧が、意地悪く笑う。
「あのお方、普段は温厚ですが正体を探られたなら激昂して国の一や二つ易々と滅ぼすでしょうなぁ」
男の顔が真っ青に染まっていく。自分が今知った情報は、「知るべきではない」情報だったのだろうか? だが、日本のためにはここで情報を得ておいた方が良いことも事実。須佐之男命達の話が事実ならば、海外の結社は「居候」のカンピオーネを知らない。これは大きなアドバンテージになる。
「……どんな能力かお伺いしても?」
恐る恐る、という表現がピッタリの表情で問いかける。一歩間違えれば待っているのは国を巻き込んだ破滅だ。慎重すぎて困ることはない。
「話してやってもいいんだが、アイツは権能多いから全部説明すんのはめんどくせぇ。洗脳したり束縛したり真似したり周囲を消し飛ばしたり。連戦になると怖くもなんともないが1対1ならつえーぞ。権能抜きの純粋な武術でもオレと張り合えるしな。なに、そんな怖れなくてもオマエがここで聞いたことを忘れてしまえば問題ないだろ。さっさと忘れろ。お前が黙ってさえいれば、みんなが幸せってなぁ」
今度こそ、男は完全に沈黙した。権能を使わない武術で目の前の神と互角というのは戯言だと信じたい。この神が認める実力者とは、どれほどのものなのだろうか。
「……時が満ちるまで、このことは胸の内に秘めておきます。ご教授、ありがとうございました」
しばしの沈黙の後、一礼と共に男が告げる。直後に姿が喪失したが誰も気に留めない。現世に戻ったことを皆が知っているからだ。
「随分慌ててたな」
須佐之男命が杯を傾け、黎斗が調合した世界に二つと無い美酒に酔いしれる。
「御老公が脅かしすぎましたな。まぁ、問題は無いでしょう」
黒衣の僧が笑いながらつまみを食べる。
「くれぐれも黎斗様を怒らせないようにお願いいたしますね」
姫君の呟きが聞こえているのかいないのか、男達の酒宴が始まる。
「ただいまー」
夜の9時になろうかという時間にようやく帰宅に成功する。追っ手の
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