§8 逃亡した魔王の反省会
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スラの盟友という点は共通してっからな」
ペルシャ神話などあまり馴染みのない黎斗にとってこのレベルの知識となると完全に未知の領域だ。そして須佐之男命がここまで知ってることに疑問を覚えてしまう。彼は異国の神々を積極的に調べようとする性格だっただろうか?
「なんでそんなに詳しいの? ぶっちゃけ大抵の人はアーリマン=悪だと思うんだけど」
「そこは、お前の持つ力だし?」
「さいですか……」
理由がイマイチ納得いかないが強引に納得する。神々の持つ理由なんてものは大抵理解不能な理由だし。これ真理。
「んで、話変わるが恵那はどうだ? 」
何故か嫌な予感がする。雰囲気がガラリと変わったせいだろうか? こう、タチの悪い酔っ払いの絡みみたいな。
「どう、って?」
「お前、外見は恵那のやつと同じような年だろ。年若い男女が一つ屋」
通信回線を切断する。三十六計逃げるにしかず。この手の話題で勝てる気がしない。
「マスター、切っちゃってよかったのですか?」
肩で沈黙を貫いていたエルが、ひそかに笑っている。終始会話を聞いていた筈だろうに、趣味が悪い。
答える代わりに、街道を走る速度を上げた。アパートまでもう少しだ。
「ちっ、あんにゃろー。途中で切りやがって」
電話を切られた須佐之男命は不平を漏らす。それを見て笑う姫君と黒衣の僧。
「流石の黎斗様も口では御老公に敵いませぬゆえ、仕方ないかと」
「然り。然り。口喧嘩なら我々でも黎斗様に勝てますからなぁ。しかし、今回は黎斗様にしてやられましたなぁ」
「まるで剣では黎斗がオレより強いような言い方じゃねぇか。オレはまだ黎斗のやつにそっちも負ける気はないぜ」
心外だと言わんばかりの須佐之男命の苦言にますます笑みを深める二人。それがますます須佐之男命のぼやきに拍車をかける。電話なら話題を強制終了させる切断、という手段がとれない須佐之男命に出来ることは、二人のからかいを耐えることだけだった。
「御老公、今の方は? 清秋院様以外に通話とは珍しい」
事態を静観していた、背広姿の男が口を開く。古老の一角たる彼は、正史編纂委員会の重鎮として普段現世に存在しているので黎斗と直接面識はないのだ。もっとも、基本的に引きこもっていた黎斗と面識があるのは須佐之男命達三人くらいのものなのだが。
「お前はそういえば会ったことなかったな。電話の相手はオレのトコの居候だよ」
「居候……?」
要領を得ない、といった表情の男に対し、黒衣の僧が補足に加わる。
「日本に現れた最初の羅刹の君。御老公と激戦の末、引き分けたお方です。ついこの間、現世へ行かれました」
背広の男は唖然とする。今こいつは何と言った
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