第六話 中等部最強と呼ばれた男
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た。
──久しぶりに強い一撃もらったな。
少しだけ麻痺する左手を気にしながら氷絃は受け身の体勢で葉由を待つ。それに応えるように彼は高速でジャブを放つ。数は多くても先程より軽いため氷絃は丁寧に対処してカウンターの一撃を打つ。
今度は回避できないようで両腕で防御姿勢を取って氷絃の一撃を耐えた。
「ボクシングか」
「正、解っ!」
先程までの物腰柔らかな彼は何処へやら、跳躍して獰猛な顔で氷絃の死角から一撃を叩き込もうとするがそれを氷絃はあっさりと掴んだ。
「なっ!?」
「俺らがやってるのはボクシングじゃねぇからなっ!」
そのまま腕を両手で掴み、投げ技の要領で氷絃は葉由を思い切りリングに叩きつける。
そこで大きな歓声が上がるが、ルールなので掴んだ手を放して距離を取る。すると葉由は一秒も経たずに立ち上がり、戦闘を続行する。
氷絃は依然として受け身の体勢を崩さず、なるべく動かないようにして全ての攻撃に対処をしていると、今まで的確な連撃を入れてきた葉由が不意打ちを企んだのかフェイントからハイキックを勢いよく打ち込んだ。
「……ぐっ!」
プロテクターで防がれているものの首筋に当たったため、くぐもった声が氷絃から漏れる。しかし、少しふらついただけで氷絃は膝すら付かなかった。
「ほぼ完璧に入れたと思ったんですけど……」
「プロテクターのおかげだ。無かったら倒れてた」
──まぁ、冴空が見ているから倒れるわけには行かないけどな。
そう受け答えして今度は氷絃が突っ込む。それは葉由が最初に繰り出した時よりも速いと断言できるスピードで、葉由はなんとか防御姿勢をとるので精一杯だった。
スピードの乗った一撃が防御姿勢をとった腕を弾き、そして浮いたところでヤクザキックを腹部へと放った。
リング端まで吹き飛んだ葉由はそのまま三秒ダウン。
ビーッ! と四角につけられていたカメラからブザー音が発せられると氷絃は構えを解き、葉由に歩み寄る。
「大丈夫か? 少し強く蹴りすぎた」
「あ、うん。大丈夫です……強いですね」
「そう言われると嬉しいな」
氷絃は葉由を起こし、お互いに讃え合う。
「また頼むな」
「うん、次は負けませんから」
リングから降りると見ていた生徒達が二人を拍手で讃え、教師も見本にはちょうどいいと満足したようだった。
「このように、戦闘が終わってもお互いを尊重するように。二人ともご苦労だった。さて、早速だが今から言う組み合わせで戦闘実技をするように。呼ばれなかった者は待機だ」
こうして二時間に渡る戦闘実技が終わり、氷絃は葉由との戦闘実技を含めた四戦を全て勝利でおさめたのだった。
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