暁 〜小説投稿サイト〜
【完結】Fate/stay night -錬鉄の絆-
第029話 5日目・2月04日『脱落者』
[2/4]

[8]前話 [1] [9] 最後 最初 [2]次話
可愛い顔が涙で腫れ上がっていた。

「………あぁ、もう。可愛い顔が台無しだよ、桜」
「すみません、先輩………でも嬉しくって」
「うん。わかってる。でも少し落ち着いたら話し合いましょう。そうでしょ、凛さん?」
「え? ええ、そうね。私としてももう一度桜の姉を名乗りたいのが本望だけどその役は志郎に取られちゃったしね」

そう言って少しむくれ顔になる凛であった。
桜の事を救いたかったのは凛の本心でもある。
でも志郎と慎二の手前は素直に喜べなかった。
志郎という繋がりがなかったら凛は桜の事を何一つ知らないでこれからも過ごしただろう。
そう思うとやはり今一度姉と名乗るのは今はまだ都合が良すぎるし関係の悪化も避けたいところだからだ。
少しずつ桜に歩み寄っていけばいい。
いつか桜の姉だと名乗れるその時まで。
そして今はしないといけない事がある。
それは、

「………志郎。改めて言わせてもらうわ。桜を救ってくれてありがとうね」
「ううん。凛さんは気にしないで。私も私で桜を救いたいという想いを慎二くんと共有して今まで頑張ってこれたんだから。ね? 慎二くん」
「ああ、そうだな。僕からも言わせてくれ。衛宮………本当にありがとう」
「先輩、私からも言わせてください。ありがとうございます」

三人から感謝の言葉を言われてさすがに志郎も顔が赤くなるのを抑えられなかったのか頬を掻きながらも恥ずかしそうに、

「………感謝の言葉は素直に受け取っておくね」

それで四人して笑みを浮かべるのであった。
それから少しの余韻を味わった後、凛が「さて………」と言って立ち上がり、

「それじゃ桜に間桐くん。こんな雰囲気で言うのもなんだけどライダーとの契約………破棄できるかしら?
間桐くんは間桐臓硯に命令されたとはいえたくさんの人を襲ったのは間違いない事実だしね」
「ああ、わかっているさ」
「はい………」

慎二と桜はそれで頷く。
そして慎二は間桐臓硯から預かっていたライダーを使役するための『偽臣の書』をバックから取り出して凛に渡そうとした、その時だった。
偽臣の書は突如として炎に包まれてそのまま焼き焦げてなくなってしまった。

『なっ!?』

その光景に一同は驚きの声を上げる。
偽臣の書が燃えてしまった。
つまり、それが意味することは、

「もしかして、ライダーはやられたの………?」

志郎がそう呟く。

「ッ! 桜! 令呪は!?」

慎二が慌てて桜にそう問う。
偽臣の書がなくなったという事は委託されていたのが戻ってきたために消えていた桜の令呪も手の甲に再び浮かび上がるはずだからだ。
だが桜は手の甲を見て、

「すみません、兄さん。ライダーとの繋がりが感じられません………」

桜は残念そうに
[8]前話 [1] [9] 最後 最初 [2]次話


※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりをはさむしおりを挿む
しおりを解除しおりを解除

[7]小説案内ページ

[0]目次に戻る

TOPに戻る


暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ

2024 肥前のポチ