第十二話「ホロコースト・W」
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「琴里…、何で…?」
士道は茫然とした様子で上空に浮かぶ琴里を見る。琴里の今の姿は誰がどう見ても精霊にしか見えず右手には先ほど出現した巨大な斧が握られていた。
「…炎の精霊イフリートか。邪魔をするなら貴様も、死ね」
彼女は邪魔された不快感を隠そうともせず負の感情のままに琴里へとMG42を乱射する。人間であれば片手で撃つどころか持つ事すら難しい機関銃を軽々と持ち発射するそれは化け物とさえ思えた。
「はぁっ!」
琴里は先ほどと同じく炎を生み出すとそれを弾丸へとぶつける。霊力が込められた二つの攻撃は巨大な爆風へと姿を変えこの場で立つ者たちに襲いかかる。
「くっ!琴里!」
瀕死の折紙を庇いながら士道は琴里に呼びかける。辺りは爆風の影響のせいなのか黒煙が立ち込めており辛うじて時々聞こえてくる何かがぶつかる音や発砲音、そして士道のもとに襲いかかる衝撃が未だ二人が戦っている事を教えていた。
そして、黒煙が薄れその中央には、倒れ伏す五河琴里の姿とそれを見下ろす彼女の姿があった。
「っ!琴里ぃ!」
五河士道は思わずと言った様子で琴里の元へ駆け寄ろうとする。しかし、それは琴里の近くに立つ彼女から放たれる殺気のせいで未遂で終わってしまう。それと同時に士道は琴里に起きている異常に気付くことが出来た。
恐らく彼女に撃たれたであろう場所から青い炎が出現していた。それはいつの日か士道が体験した事象とよく似ていた。それが意味する事に思い当たった士道は一気に肩の力を抜く。
「…やはり、この程度では死なないか」
彼女も琴里の力を理解している様で忌々しそうに琴里を睨んでいた。やがて、炎が消えると琴里はゆっくりと立ち上がった。
「全く、無茶な事をしてくれるわね」
琴里はいつも通り人をおちょくる様な目で彼女を見る。しかし、その頬に汗を掻き目が笑っていない事から最大限の警戒を行っている事を伺わせていた。
「私としては貴方が恐れおののいて戦意を無くしてくれるのがベストだけど…」
琴里はその場から大きく後退する。瞬間琴里がいた場所には柄付き手榴弾が現れ爆発した。それが彼女からの返答であると考えた琴里は続けて攻撃しようとした時であった。琴里は頭を抑えその場に座り込んでしまう。
「…?…」
彼女は琴里の様子に警戒するがこの隙を逃さないとばかりに再びアハトアハトを生み出すとそれを琴里へと向ける。しかもそれを二門、三門と出していき合計五門の砲塔が琴里へと向けられた。先程狂三に対して行われた攻撃よりも過剰な姿はそれだけ目の前の琴里を警戒し葬ろうと全力を、彼女が出していることが伺えた。
「そんな…。琴里ぃっ!」
しかし、そんな事は琴里の兄である士道にとっては悪夢でしかなく琴里に向かって走ってい
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