暁 〜小説投稿サイト〜
至誠一貫
第一部
第二章 〜幽州戦記〜
十四 〜出立〜
[6/6]

[8]前話 [9] 最初 [2]次話
者を大切になさるのはわかります。ただ、何故ここまでなさるのでしょう?」
「過分に過ぎるか?」
「い、いえ、そうではないのですが。ただ、兵は使い捨てのように扱い、見下す将は大勢いる中で、ご主人様の有り様は違う。そう思ったのです」
「そうだな。私の性分、ではあるかも知れぬ。……それに」
「他にも、理由がおありですか?」
「……失いたくないのだ、大切な仲間達を。適うなら、誰一人欠ける事なく、共にありたいのだ」
「…………」
「それが、将たるものの心得。……少なくとも、私はそう思うのだ」

 仲間を、部下を失う辛さは堪え難いもの。
 それを繰り返す愚は避けたい、いや避けねばならん。

「やはり、ご主人様ですね。そんなご主人様だから、皆が慕うのでしょう」
「愛紗?」

 そっと、身を寄せてくる愛紗。

「参りましょう。ご主人様も、お身体が冷えてしまいます」
「……ああ」

 私は、今一度空を見上げた。
 明日には、止むと良いのだがな。
[8]前話 [9] 最初 [2]次話


※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりをはさむしおりを挿む
しおりを解除しおりを解除

[7]小説案内ページ

[0]目次に戻る

TOPに戻る


暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ

2024 肥前のポチ