シャンドラの|灯《ひ》をともせ
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が存在し、見渡す限りの果てしない大地こそが限りない大地であると言われている。
神の地などという矮小な大地を奪い合うなど、滑稽の一言に尽きる、エネルはそう豪語した。
「そう、私の目的は"還幸"だ」
それがエネルの最終目的、神が存在する場所である限りない大地への到達に他ならない。
「……400年の因縁、シャンドラの灯、黄金の大鐘楼、まったく貴様ら人間はいつも些末事に執着する」
先程、クリケットに対して歓迎の意を表していたエネルが呆れ果てた様子で深く嘆息し、説き伏せる様に言葉を紡いでいく。
この瞬間、神であるエネルは黄金の大鐘楼だけでなく、クリケット達を取り巻く事情まで熟知していることをルフィ達は知った。
「だが、喜べ」
「私がその矮小な呪縛から貴様を解放してやろう」
誰もがエネルの真意を理解することが出来ず、神の言葉に耳を傾ける。
「神には神の、人には人の、地には地の摂理というものが存在する、そうは思わんか?」
そこでエネルは終始、無視を続けていたガン・フォールに向き直り、底冷えのする笑みを浮かべた。
その笑みからは狂気が見え隠れし、ナミとビビは眼前のエネルの存在そのものに恐怖せざるを得ない。
「まさか、貴様……」
「その顔を見るに私の考えをある程度理解したようだな、元神ガン・フォール」
知られざるガン・フォールの素性の暴露にその場の誰もが瞠目し、当人を見る。
ガン・フォールは憎々し気にエネルを睨んでおり、その様子からエネルの言葉が真実であることを示していた。
「そもそも、これまでの人間共の価値観が間違っていたのだ!!」
エネルは両腕を大きく広げ、天を見上げ、声を張り上げる。
「人であるにも関わらず何故、空に生きる?」
「何故、雲でもないのに空に生まれる?」
「青海に存在すべき島が何故、空に存在する?」
「何故、自然の摂理に反する空島という存在に誰一人として疑問を抱かない?」
エネルは眼下のルフィ達を見据え、衝撃的な言葉を口にした。
「そうだ!私が神として自然の摂理に従い、この空島そのものを本来あるべき姿に戻してやると言っているのだ!!」
空島に生きとし生ける全ての存在を空より引きずり落とす、エネルはそう言っている。
「ああ、そう、貴様のかつての部下である神兵だが、これまでの献身を讃え、奴らに私の真の目的を伝えたのだ。だが、奴らは血相を変えて私に敵意を向けてきたのでな……」
エネルは心底可笑しいと言わんばかりに腹を抱え、笑う。
「手始めに滅ぼしてやった」
「彼らの帰りを待つ家族がいるのだぞ……」
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