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聖国のジルフリーデ 〜勇ましき姫と気高き女騎士と、男勝りな女戦士と妖艶な女盗賊は、媚薬の罠に乱れ喘ぎよがり狂うも、心だけは屈しない〜
第2話 4人の女傑は、汗の匂いを撒き散らす
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お見事です、姫様。さぁ、王妃様の元へ向かいましょう。あとはアンジャルノンと、僅かな残党だけです」

 やがてジルフリーデは、ラフィノヴァ達が加勢するまでもなく――自分を狙っていた衛兵達を全滅させてしまう。その奮戦を見届けた仲間達は彼女と合流すると、一気に上の階層へと駆け抜けて行くのだった。

「これで最後か……案外、呆気ないものね。ジル、アンジャルノンを倒したら少しだけ……この城の財宝を貰えないかしら? 私が一生遊んで暮らせるくらいの、ね」
「アタシは酒! さっきそこの貯蔵庫に山ほど酒が積んでたでしょ、あれ全部ちょーだい!」
「いい加減にしろ貴様ら! 全く、まだ戦いは終わっていないんだぞ!」
「ふふっ……構いませんよ。今まで、私達と共に戦って下さった恩人ですもの。アンジャルノンから母上を救った暁には必ず……ね?」
「……ふん。姫様のご厚意に感謝するんだな」
「あら、さすがジル。話がわかるわね」
「どっかのカタブツおっぱいお化けとは違ってさぁ」
「お、おっぱ……!? きっ、ききき貴様らぁー!」

 その道中で、いつも(・・・)のように些細な口喧嘩を繰り広げる彼女達は――心の底から信じていた。
 この4人なら、必ずアンジャルノンにも勝てる。アリアレイテ王妃も救える。帝国軍を、この聖国から追い返すことも出来る。
 正義の旗を掲げ、戦い抜いて来た自分達なら、必ずその全てを成し遂げられるのだと。信じて、疑わなかったのだ。

 ――この先に待ち受ける、甘い快楽の罠へと沈みゆくまでは。

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