ありふれた職業で世界堪能 3
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儂の正体を明かした夜更けに縁側でハジメと晩酌を楽しむ。今日だけは二人からハジメを貸してもらったのだ。結構衝撃的な告白だったはずなんだが、三人にはあっさり受け流された。むしろ納得されてしまった。おかしいな、アサシンとしての教育はちゃんと受けていたのだが。
「教育が古かったんじゃないか?全然溶け込めてないから」
ハジメが米で作った発酵ジュースを飲みながら答える。否定できないな。カビの生えたような組織だったから。それでも元の世界に帰ったらもう一回徹底的に根絶する位襲撃してこよう。
「むしろ、今何歳なんだ?」
「さあ?たぶん、40はいってないはず。30は余裕で超えてるはずだが、調整槽に放り込まれてる期間が長いからな。それを抜くと、10歳ぐらい?」
資料を漁った際に見かけた書類には製造開始時期70年代後半だったからな。それぐらいのはず。きゅうりの浅漬をツマミに大麦で作った発酵ジュースを煽る。
「中2の時に転校してきたから4年と考えてもテロリスト歴6年か。中途半端にリアルな現代物が嫌いな理由ってそれかよ」
「儂の好きなキン肉マンは突拍子のないゆで理論が絶対に起こりえないことだからだ。あと序盤のギャグ漫画のほうが好きだ。中途半端にリアルなのは、多少見に覚えがあってだな。漫画家のこれぐらいならもしかしたら出来るかもっていう超絶アクション、やれるんだよ、道具を使って多少の補助はいるけど、やったことがあるんだよ」
塩茹でしたとうもろこしに齧り付く。醤油を塗った焼きとうもろこしも良いが、儂はこっちのほうが好みだ。
「……たまにテレビでやってる未解決事件って、まさか」
「去年だったか、23年前に起こったマフィアのボスが犠牲者の未解決の密室殺人事件。儂がやった」
「……あの壁の一部が凹んでたのって」
「今より幼い頃だからな。摩擦係数が高い素材で作ったグローブと指の力で壁を凹ませながら強引に登ったんだよ。あそこだけは壁の仕上げを誤魔化していたみたいでな、跡が残った」
あれは苦い思い出だ。あの任務後に調整槽に再び入ることになったんだからな。
「あれ、専門家がまるで子供が忍者みたいに壁を登ったって笑い話にしてなかったか」
「してたよ。ちょっとドキドキしながら見てた。まるっきり当てられてるんだぞ」
「ちなみに逃走ルートって滝?」
「滝。上流の流れが緩やかな場所から鎖を引っ張って、それを使って滝のぼり」
「元の世界からそんなことをしてたのかよ」
「まあな。だからこそ、こっちでステータスプレートを見て疑問に思った。このステータス、本当に正しいのか?少なくとも年齢は壊れているぞ。稼働期間的にはあってるかもしれないが。おそらくだが、こいつは職業による補正値の上乗せだけが表示されてる。
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