暁 〜小説投稿サイト〜
逆さの砂時計
純粋なお遊び
合縁奇縁のコンサート 26
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界の農畜産業の機能も徐々に鈍化していく。

 ロザリア様達が一ヶ所に留まり続けると、周辺地域の生態系が狂いかねないんだ。

 「……あのさ……もしかして私、此処に居ると相当やばい……?」
 「…………どうお答えしてよいものか、判断しかねてはいますわ」
 「こればっかりはなー……」
 かつて、あらゆる生命を護る為に世界各地で力を振るっていたとされる女神アリア。
 当時は一ヶ所に留まるほうが珍しくて、まさか見えない所でこんな事になっていたとは気が付かなかったのかも知れない。

 ロザリア様の顔、真っ青。

 『何を言ってるんだ? 今は結界に入ってるんだから問題無いだろう。数日間表に出なければ元に戻るぞ?』
 「酔っ払うまでは半日足らずで、酔いが醒めるまでは数日掛かるのか」
 「とんでもない威力ですのね」
 「ウソだろ……」
 「ロザリア」
 大半を封印しててこれなら、封印を解いた瞬間に大惨事じゃないか……と呟きながらよろめくロザリア様を、クロスツェルさんが気遣わし気に見つめる。
 思わぬ展開に暗い雰囲気が漂い出す中、小鳥だけが理解できないと言いたそうにピルル? と鳴いた。
 『直接命を奪う訳でもあるまいに、捕食の鈍化程度で大袈裟だな。そんなに気になるんなら、それこそ泉の水でも持ち歩けば良いじゃないか。あれならレゾネクトの力も隠せるんだし』
 すると。
 「「「その手があった!!」」」
 アオイデーさんの提案に、プリシラ様とお父様とロザリア様の喜ぶ声が重なった。
 「いつの間にか長衣の袖に入ってた、あの水入りの球体! あれの中身は殆ど無くなってるけど、同じ奴を探して持って来れば万事解決だな!」
 「袖……? あ、それは多分、私が入れた物です」
 「フィレスさんが?」
 「ええ。レゾネクトと空中で対峙した後、一旦離脱した際に忍ばせておいたんです」
 クロスツェルさんが意外そうに瞬く隣で、ロザリア様が自身の両手をポン! と打ち鳴らす。
 「ってコトは、あの球体が何処に在ったのかも知ってるんだな。良し! 探す手間が省けた!」
 直前までの酷い顔色は何処へやら。
 一転して喜びにはしゃぐロザリア様の笑顔が、ちょっと可愛らしい。
 「数日に亘る変化でも、極々稀……記憶にも記録にも残らない程度の頻度なら疑問を持たれる心配は少ないでしょうし」
 「巧く制御すれば事情を知ってる俺達専用の合図として利用できるから、逐一呼び戻して説明を求める必要も無くなる」
 「「お手柄だぞ「です」アオイデー「様」!」
 プリシラ様とお父様も、嬉しそうに目を細めた。
 私もこっそり胸に手を当てて、安堵の息を溢す。
 協力を約束した相手に、「都合が悪くなったから出て行ってください」なんて恥知らずな台詞、口が裂けても言いたくないもの
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