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逆さの砂時計
純粋なお遊び
合縁奇縁のコンサート 26
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 「……え?」
 「そうですわねぇ。私でしたら、悪意等の有無に(かかわら)らず、驚きすぎて咄嗟に首を引っ掴んでぶら下げていたでしょう。何処のどなたかは存じ上げませんが、ひとまずご無事で良うございましたわ」
 「ええ……っ!?」
 や、やっぱり、私以外にも聞こえてる?
 しかも、お父様とフィレスさんはこの小鳥と知り合い? 寧ろ私以外には小鳥の姿が見えてたって事?
 でも、三人共「突然」だって言ってるし、プリシラ様は普通に会話してるけど、さりげなく「初対面だ」って認めてるよね?
 驚きすぎてと言う割りに、全然驚いてるように見えないのは何故。 
 『…………知ってた。お前らがそういう性格だって解ってたから、一番安全そうなミートリッテを選んだんだ! 結局叩き落とされたけどな!』
 「「ご愁傷様です」」
 『他人事みたいにあっさり片付けるんじゃない、保護責任者(こうけんにん)共! まったく、どいつもこいつも腹立たしい! 私を何だと思ってるんだ!』
 「フィレスに付き纏う偏執鳥(へんしつしゃ)
 「会話できる小鳥にしか見えませんわ」
 「ご自身では女神と仰っていましたね」
 「めっ……、めがみぃい!?」
 女神ってまさか、ロザリア様みたいな!? この鳥が!?
 と、再度大きな声を出しかけた途端。

 「お前ら、もーちょっと静かにしろよ! 幾ら結界があるからったって、防音加工されてる壁を越える大声ってなんな…… ん?」
 
 バタン! と開いた扉の向こうから、片耳を押さえたロザリア様が顔を覗かせて
 「……本当に、何してんだ? お前ら」
 ソファの横で倒れ伏しているリーシェさんを見下ろした。
 ロザリア様に続いて出て来たクロスツェルさんによれば、両耳を押さえたまま気絶しているらしい。
 つまり、原因は私の絶叫(ひめい)だ。
 先程プリシラ様に失態を見せたばかりでまたやらかしてしまったと気付き、全身から血の気が引く。
 「すっ、すみませんでした!」
 フィレスさんの手を借りて素早く立ち上がり、客人と上司へ向けて深々と腰を折る。
 が。
 「ミートリッテさんに非があるとは思えませんが」
 「だな。今回は、無力な人間に対する配慮が足りてなかったアオイデーが全面的に悪い」
 『お前達は、何かあったらとりあえず攻撃しちゃえ☆ とかいう自らの凶暴性をもう少しで良いから改めろ! 慈愛を謳うアリア信徒のクセに、何処まで乱暴者なんだッ!』
 フィレスさんは不思議そうに瞬き、お父様は非難を止めない小鳥を見て楽しそうに笑った。
 プリシラ様も、私を見てにっこりと笑い。
 「公の場でなくて良かったわね?」
 あ。これは「今回に限り赦してあげるけど次は無い。」ですね。分かります。
 「以後! 重々気を付けます!」
 向け
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