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魔法少?リリカルなのは UnlimitedStrikers
第30話 問題発生
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? なんで? っていうことよりも……。

 忘れられるって、こんなにも辛いんだな。
  
 新しい一面が見えたかも知れない喜びよりも、色んな表情が見れた嬉しさよりも、ただ。それだけで悲しい。
 流の顔を撫でるように、頬に手をあてる。嬉しそうにその手を添えて喜ぶけれど……正直辛くなってきた。

 ま、それは一旦置いとこう。多分俺なんかよりもこれに気づくアイツが一番凹むだろうしな!
 とりあえず、この海坊主見たいな子をなんとかしないと、な。

「さて、流。少し髪を整えようか?」

「はい、お願いします」

 そう言ってから、自分の机の引き出しを開ける。中には書類とか色々入ってるけれど、一つだけ朱色の布に包まれている物があり、それを取り出す。布を解くと、花櫛と呼ばれる櫛が一つ入っている。
 それは桜の花びらを散らしたような綺麗な装飾のモノ。最近は中々出来ないけれど、これで髪を梳いてやると、よく喜ばれたなぁ。なんて考えながら、それを手にとって。

「さて、やろうか?」

「はい」

 ――――

 実をいうと、ガキの頃……いや、6歳位から人の髪に触れるのが好きだった。自分がこんな長髪だからというのも多少は関係があるかもしれない。
 だけど、それより前はどういうわけか、人一倍髪が伸びるのが嫌で、自分でよく切ってた。その際バカやって耳を切ったときにはすげぇ痛かった。今思えば、あの頃の時点で母さん治癒魔法で治してくれたんだなぁと今になってわかった。
 その際ガタガタの俺の髪を綺麗に揃えてくれて、梳いてくれたのは気持ちよかったし、嬉しかった。母さんから、私と同じ髪だから大切にしてねと言われたのをよく覚えてる。
 それからは髪を束ねて出したけれど、シュシュが嫌で落ちこんでたし、そもそも下に落ちるし。それを見かねた母さんが、自分で使ってた長めの白いリボンと黒いリボンを半分に切って、髪を縛ってくれた。これも魔力を使った特殊なものらしく、傷ついてもある程度したら直ってるし、多少燃えても復活する。流石に汚れは取れないからちゃんと洗濯してるけどね。
 何より、そんな大事であろう物をくれて、今では形見みたいなもんだ。

 今使ってるこの櫛も母さんが最後にくれたもの。だけど、これ使うと不思議と落ち着く。使われても使っても、だ。

 現に今これで流の髪を梳いているけど、心地よさそうにしてる。最近こういうこと出来ないしなぁ。いつか合間見てエリオとキャロにもやろう。

 さて、調子はどんな感じかな?

「流、これ終わったら、髪型でも変えるか?」

「……すぅ」

 おいおい、まじかよ。座ったまま寝よったよこの子。まぁ、いいや。その辺は勝手にやろう。
 しかし、良い髪だよなぁ。いつかの出張の時にも思ったけど、良い質感だ
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