第十幕その九
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「実は織田信長の方が傾いていたね」
「天下人で傾いていたからね」
「それじゃあね」
「傾いていたって言えるよね」
「本当に」
「そうだよ、だから領民には慕われていたんだ」
いい政治を行っていたからだというのです。
「家を継いだ時からね」
「やっぱり見ている人は見ているんだね」
「善政を敷いていたらね」
「領民の人達にはわかるね」
「お殿様がどんな人か」
「うん、その織田信長が日本のお城を変えたね」
こう言っていいというのです。
「だからあの人がいないと姫路城もだよ」
「ひょっとしたら出ていなかった」
「今みたいなお城になっていなかったかも知れない」
「堅固なだけじゃなくて奇麗でもある」
「そんな風にはなっていなかったのね」
「そうかも知れないよ、政治のことも考えたお城は織田信長以前も築かれていたけれど」
それでもというのです。
「安土城から見栄えも考えられる様になったみたいだしね」
「天守閣がその代表だね」
「姫路城も何といっても天守閣だけれど」
「若し天守閣が見事じゃなかったら」
「その時は」
「天下泰平の基礎を築いただけじゃなくて」
「そっちの方でも貢献した人なのね」
動物の皆もこのことがわかりました。
「成程ね」
「それじゃあね」
「そのことも頭に入れて」
「姫路城に行くのね」
「今度からは」
「そうしようね、しかし城下町はね」
先生はこの説明を見て思うのでした。
「今も僕としては違和感があるね」
「イギリスにはないからね、城下町って」
「勿論欧州の他の国でもね」
「中国でもそうだし」
「アラビアでもそうよ」
「アメリカもそうだったし」
「街は城壁で囲んでね」
そうしてというのです。
「街自体がお城だからね」
「ロンドンにしても他の街にしても」
「僕達の認識ではそうだから」
「それが街が城壁に囲まれていなくて」
「お城が街に囲まれている」
「大きな違いだね」
「だから戦いになれば城下町にいる人達は安全な場所に逃げていたんだ」
日本ではそうだったというのです。
「それで戦いが終わるまで難を逃れていたんだ」
「お城の中に入らないで」
「そうしていたのね」
「じゃあ敵もその人達に何もしなかった」
「先生前そうお話してくれたわね」
「大坂の陣でもまずは大坂の人達が安全な場所に逃げてね」
そうしてというのです。
「そこから戦いがはじまったんだ」
「逃げて敵が追わないならね」
「全く違うね」
「日本の戦いは武士と武士の戦いだから」
「その人達はどうでもよかったのね」
「後で自分達が治める人達だしね」
何といってもこのことがあるからだというのです。
「戦いになっても領民の人達や田畑にはこれといって手出ししなかったんだ」
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