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ドリトル先生と姫路城のお姫様
第十幕その七

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「日本の山の行き来は大変だよ」
「険しくて木も生い茂っていて」
 それでと言う老馬でした。
「行き来が大変だよ」
「奈良県も高野山も凄かったね」
「ええ、山の一つ一つを越えるだけでもね」
 チープサイドの家族も思うことです、それで言うのです。
「だからお城を築いたら凄いわね」
「とんでもない守りになるね」
「それは確かだけれど」
 ジップは守りはいいけれど、と思いました。
「これが行き来となると」
「物凄く辛いわね」
 ダブダブも言います。
「住むことも麓に降りることも」
「それじゃあ何かと不便だね」
 ホワイティはこのことに気付きました。
「山にお城があると」
「戦だけならいいけれど」
 トートーはホワイティに続きます。
「これが政治もってなったら」
「政治はしにくいね」
「どう考えてもね」
 最後にオシツオサレツが二つの頭で言います。
「山にいたら」
「そこにお城があったら」
「そうだね、お城は戦に使うだけじゃないんだ」
 まさにというのです。
「政治を行う場所でもあったから」
「山にあったらね」
「領民の人達は麓にいるから」
「田畑や街も平地にあるし」
「その傍にいないとね」
「政治はしにくいね」
「そう、そのことがあってね」
 それでというのです。
「次第に山にお城は築かれなくなったんだ」
「平地に築かれる様になったのね」
「欧州や中国のお城みたいに」
「ああなったのね」
「そういうことだね」
「そう、政治をしやすくて守りも堅い」
 そうしたというのです。
「平地のお城が築かれていったんだ」
「随分変わったんだね」
「じゃあ織田信長さんもかな」
「変えていったのかな」
「そうなのかしら」
「岐阜城はこの通り平地の中に山があるからね」
 模型でもそのことが再現されています、当時の街や田畑の中に山があってそこに岐阜城が築かれています。
「織田信長は麓の方に住む場所を置いていたんだ」
「そしてそこからなのね」
「政治を行っていたのね」
「そうだったのね」
「そうだよ、いざという時は山に登って」
 そしてというのです。
「普段はね」
「平地にいてだね」
「そうして政治を行っていた」
「そんな風だったんだ」
「そして安土城はね」
 このお城はといいますと。
「安土山に築いたけれど」
「そこはこれまでのお城ね」
「山に築いたのなら」
「そうよね」
「うん、けれど安土山はそれ程高くて険しくないから」
 それでというのです。
「行き来もしやすいしね」
「守りやすくて行き来しやすい」
「そうしたお城が出来たのね」
「山に造るお城を山城といってね」
 そしてというのです。
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