第四章
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「女でも子供でもな」
「女は将来戦う奴を生みますしね」
「それで育てますしね」
「子供は大きくなれば戦う戦士になるか戦士を生む女になる」
「だから殺すんですね」
「そうだ、誰でもだ」
それこそというのだ。
「殺せ」
「そうですね」
「じゃあ殺しますね」
「今度の戦いでも」
「インディアンは皆殺しですね」
「そうしろ、絶対にだ」
カスターはこう言ってだ、自分が率いる兵達を鼓舞していた。他のアメリカ軍の兵達も同じだった。だが。
指揮官の一人であるジョージ=クルックは深刻な顔で部下達に言っていた。
「スー族は侮れない」
「馬を巧みに乗りこなし」
「銃も多く持っていますね」
「だからですね」
「油断出来る相手ではないですね」
「そうだ、だからだ」
それでというのだ。
「今回の戦いはな」
「油断せずにですね」
「慎重に慎重を重ねてですね」
「そうして進んでいき」
「戦闘を行っていきますね」
「そうしてだ」
そのうえでというのだ。
「勝つぞ、勝つことをだ」
「考えることですね」
「インディアンをどう殺すかではなく」
「勝利ですね」
「それを考えていくべきですね」
「そうだ、殺すことではなく」
カスターと違っていた、クルックの考えは。彼は殺すことを第一に考えてはいなかったのだ。それでだ。
ここでだ、こう言ったのだった。
「勝つことを考えろ、いいな」
「はい、ではです」
「斥候を多く出してです」
「慎重に進軍もして」
「敵の動きも見ていきます」
「強敵と戦うことは頭に入れておけ」
クルックは部下達にこう言ってだった、兵を進めさせていた。その中でスー族とアメリカ軍はアメリカ人達が言うローズバットで激突した。
クルックの予想通りスー族は強かった、だからこそ彼は慎重な指揮を執った。
「迂闊に進むな」
「はい、迂闊に進みますと」
「敵に狙い撃ちにされます」
「だからですね」
「ここはですね」
「進軍が一時止まってもいい」
例えそうなってもというのだ。
「それでもだ」
「今はですね」
「慎重に戦闘を行い」
「部隊を全滅させないことですね」
「全滅しては何もならない」
クルックは自分達の戦闘を見つつ部下達に告げた、青い詰襟の軍服の騎兵隊の兵達は赤い肌のインディアン達と果敢に戦っている、だが。
果敢に戦っているのはインディアン達も同じだ、それでだった。
彼は迂闊に攻めさせなかった、だが同時にこうも言った。
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