天空のアビス
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のにまで蔓延っていたのだ。
「管理局の一番恐ろしい所は、多数の高ランク魔導師を抱えている戦力でも、次元世界中のロストロギアでも、ましてや技術でもない。思い通りに“シロ”を“クロ”に塗り替える権力だ。結局の所、司法に関わる人達にとっては全ての事件が他人事に見えてるのかもね?」
「じゃあ……特権階級の人やマスコミの人も、自分や自分の家族が被害にあわないと、考えを改めてくれないのかな……」
脳裏に浮かんだのはニダヴェリールの大破壊以降、闇の書関連の事件ということでやってきた管理世界の人達。彼らのマスコミが被害の現場としてアクーナに取材に来たことがあったのだが、彼らは私達の辛い気持ちもプライバシーも無視し、好き放題に無遠慮な質問をぶつけてきた。そして……彼らが期待する言葉が被害者の誰からも発せられなかったせいか、去り際にとんでもない事を言われた。
『どの内容もつまらないな、これじゃ無駄足だ。ちっ、いっそ全滅してた方が楽なのに』と。
だから……もう管理世界とは関わりたくないのだ。あの時、私は彼らがヒトの形をしているだけの得体のしれない化け物に見えて……外にあるものが、次元世界の何もかもが怖くなった……。
「うっ……! ぐぅ……! はぁ、はぁ……!」
「シャロン……!?」
「ご、ごめん……。嫌な記憶を思い出したせいで、ちょっと発作が出た……」
突然、心臓の辺りがきゅぅっと締め付けられるように痛み、ちょっと吐き気もあった。サバタさん曰く、これはPTSD……心的外傷後ストレス障害の発作らしい。あまり刺激の強い記憶を思い出すと、今みたく体調を崩したり、精神に変調をきたすことがある。世紀末世界でも時々こんな事があったのでザジさん達は知っているが、何をきっかけに発作が起こるかわからないのが怖い。
「ん、大丈夫?」
「うん……もう、平気……」
「(流石にトラウマの治療は時間がかかるからねぇ……一生治らないことだってザラにあるし)」
『(わずかに垣間見えたシャロンの記憶ですが、あんな仕打ちをされればトラウマにもなりますよ。ミッドチルダにいるだけで発作が起きてもおかしくないと考えると、今の状況はシャロンにとって猛毒の中に閉じ込められてるも同然なんでしょう……)』
心配してくれたケイオスが背中をさすってくれて少し楽になったが、私も私でこの記憶に蓋をして発作を抑えた。思い出さないでいられたら楽なのは間違いないが、しかし……簡単に水に流していい記憶ではない。だから辛くとも、忘れる訳にはいかないのだ。
で、話を戻すけど、海といえばまだもう一つ気になる点があった。
「あのさ、シオン。この赤い点だけど、沖合のど真ん中にあるよね」
「そうだね〜」
「孤島とか海上基地とかも無くて、完全に海の底だ
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