天空のアビス
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りいい噂は聞かない」
「噂? どんな?」
「趣味が拷問らしく、その看守に目を付けられた囚人は二日と持たないらしい。それに相手が女性だったら、その……アレだよ」
「あぁ……それはまた……お近づきにはなりたくないタイプだね」
なんとも想像しやすい下種らしいね、その看守は。にしても監獄島……か。犯罪者も実力次第で自分の戦力に取り込もうとする管理局がそれでも隔離するレベルってことは、確固たる信念を持っているせいで管理局と相容れない武人とか、体制を揺るがしかねない思想犯や政治犯とかが多いのかな。看守含めて。
「ところで犯罪者で思ったんだけど、どうして法律は被害者より加害者を守ろうとするの? そんな“犯罪者の更生に期待してる自分カッコイイ”みたいなこと考えてる人って多いの?」
というか、マスコミも視聴率を稼ぎたいがために被害者に追い打ちをかけてくるし、社会は被害者に対してフォローを全然してくれない仕組みになっている。誰が言ったかもわからないゴミのような噂、間違った解釈、他人への中傷……そうしてあらゆる情報の波が真実を飲み込み、嘘で塗り固められる。そしてその状態が事実であるかのように隠蔽され、簡単に忘れ去られる。
マキナの母はそうやって殺された。私達アクーナの民はそうやって追いつめられた。合法なら正義だと言わんばかりに、好き放題蹂躙してくる。情報とは、簡単にヒトの在り様を破壊できるのだ。
「確かに管理局も高ランク魔導師の犯罪者に対し、罪を軽減する代わりに管理局に所属してもらうやり方をよくしてるね。その件でも被害者に対しては何のフォローも無い。恐らく今の方が都合が良い上に、変えるのが面倒だから意図的に後回しにされてたりするんだろう。他にも報復されないようにとか、反省に期待してるなどと言っておけば、無駄に善人を装えるというのもあるんじゃないかい?」
「少し突けば壊れるハリボテ同然の見栄に、そんなに価値があるの?」
「彼らにはあるんだろうね、テレビを通して見てくる世間にはハリボテだけで十分通じるし。新聞やマスコミはスポンサーに都合の良い内容しか書かない、見える部分さえ見繕っておけば後はどうとでもなると思っているんだろう」
「情報操作……」
「実際、管理局も同じことをしているよ。軽犯罪者でも魔導師ランクが高ければ……いや、そもそも犯罪すらしていない人間ですら、でっち上げで罪を重くし、さっきの罪の軽減といった誘い文句……脅迫で追い込み、言いなりになる駒として吸収する。今はその面も控えめになったとはいえ、完全に消えた訳じゃない。シャロンも昨日、その面の一端を味わっただろう」
ああ、その通り。レジアスの言葉は、まさにその脅迫甘言そのものだった。管理局の悪しきミームは、表の人間にすら自然であると受け止められるも
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