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『賢者の孫』の二次創作 カート=フォン=リッツバーグの新たなる歩み
カートの挑戦
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んだって!?」
「あいつ、そんなことを考えているのか」
「あたし達を鼓舞するために!?」
「だが、あまりにも無謀だ。いくら実力はAクラスとはいっても」
「……死ぬぞ」
「いや、だがAクラスの実力があるのならあるいわは……」
「ああ、以外にいけるかも知れないぞ」
「がんばれよ!」
「でも無理するな!」

 不穏な沈黙がなくなり、応援と歓声の声が高まる。

(法眼め、余計な真似を……。だがこれでずいぶんと戦いやすい空気になったな)

 今の拡声魔法による音声は法眼のものだった。
 どこかで見ている法眼が気を利かせて場の流れを変える声援を送ったことで、闘技場の雰囲気は一変。カートを励ます声に包まれた。
 歓声を浴びる中、虎と対峙したカートはその妖気に威圧される。

(これが災害級の魔物! さすがに初めて経験する気≠セ。たが法眼の気はこいつとは比較できないほどに強い。俺はその法眼から稽古を受け、教わった。法眼よりも弱い魔物に勝てぬ道理などない!)

 脳裏に修行中の言葉が浮かぶ。

「カートよ、戦闘において最も重要なものは間合いだ。相手の武器や拳打、魔法。いかなる攻撃も正確な間合いを把握することでかわすことも逆に利用することができる。攻撃もしかり、こちらの間合いを相手に悟らせなければ必ず当たる。その間合いの支配することこそ肝要。武術も魔法もこの間合いを制することなくして成長はできない。そのことを肝に銘じ、俺の攻撃を見極めろ。さすれば間合いを制する絶技【円空圈】を身につけることができよう」

(法眼から授けられた間合いを制する極意、円空圈。俺の間合いに入れば即座に剣を突きつける!)

 ズサーッ!

「――ッ!?」

 目前に迫った魔物の鈎爪を跳んでかわす。

(は、速い! なんて速さだ、あっという間に間合いを詰められた、だと!?)

「見たか! あの巨体でなんて速さだ!」
「ああ、だがカートもあの虎の攻撃を見事にかわしたぞ!」
「すげぇッ!」

 沸き上がる観客とは対称的にカート心胆は冷え上がっていた。
 
(かわした、だと? 違う! 今のはかろうじて逃げたにすぎない。獣の速さと力、これほどまでとは! これでは円空圈……間合いどころじゃない!)

 虎の爪の速さはカートの想像を越えた速度であり、それをかわしながら反撃することは危険が大きすぎる。かわさずに盾で受け止めたとしても、盾もろとも体重の乗った虎の剛力で押し潰される。
 虎の攻撃をかわすには逃げるしかなかった。だが回避と逃避は違う。
 カートの未熟な円空圈では
 カートの脳裏にふたたび法眼の言葉がよぎる。

「俺のいた世界には剣道三倍段という言葉がある。俺の意識と同調したおまえには聞き覚えがあるんじゃないか」
「あ
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